利用者様からの暴言・暴力…介護職が知るべき正しい対応と自分を守る方法|介護課長が解説

利用者の怒られる

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 利用者様からの、予期せぬ暴言や暴力。

 その時、あなたは恐怖と、悲しさと「私が何か悪いことをしたのだろうか」という自己嫌悪で、頭が真っ白になってしまうかもしれません。

 最初に、そして最も強く、あなたに伝えたいことがあります。

 それは「あなたのせいではない」ということ。

 自分を責める必要はありません。

 「この仕事だから当たり前」「認知症だから仕方がない」「介護士の対応が悪いからそんなことになる」

 そんな戯言は右から左に流しましょう。

 何も解決せず、何も守れない。誰かが傷つくことを容認する風潮に、賛同したって意味なんてありませんから。

 利用者様だけでなく、守られるべきはあなた自身(介護士)です。

 この記事では、最前線で戦う介護士が、自身を犠牲にするのではなく、「守る」ことの重要性に重きをおいて解説しています。

 あなたの心が少しでも晴れることを願い執筆していますので、どうか最後までお付き合いください。

目次

大前提:それは「あなたのせいではない」

泣いている介護士

 利用者様からの暴言や暴力は、決して、あなたの知識不足や人間性が原因なのではありません。

行動の背景にある「病気」や「苦痛」を理解する

 その行動の多くは、認知症の症状(BPSD)や、病気によるせん妄、あるいは、言葉で伝えられない身体的な苦痛(痛み、便秘、発熱など)や、精神的な苦痛(不安、混乱、恐怖)が引き金となって現れています。

 それは、あなた個人に向けられた攻撃ではなく、本人様が抱える辛さや苦しみが、行き場をなくして表出している「サイン」なのです。

自分を責めることは、誰のためにもならない

 「自分の対応が悪かったからだ」と自分を責め始めると、あなたは利用者様に関わることに恐怖を感じ、ケアが消極的になってしまいます。

 それは、結果的に利用者様の不利益に繋がり、あなた自身の心も壊していきます。

 自分を責めることは、誰のためにもなりません。

 プロとして、まず自分自身の心を守ることが、全てのスタートラインです。

【暴言・暴力を受けた直後の行動】安全確保と報告の徹底

 万が一、暴言や暴力に直面してしまったら、パニックにならず、あなた自身の安全を確保するために、以下の手順を冷静に実行してください。

命を守るための3つのステップ

これは、あなた自身と利用者様の命を守るための、絶対的なルールです。

STEP
まずは距離を取る

何よりも最優先すべきは、あなた自身の物理的な安全確保です。腕が届かない、安全な距離まで、静かに、しかし速やかに後退りしてください。

STEP
一人で対応せず、必ず応援を呼ぶ

「自分一人でなんとかしよう」と決して思わないでください。近くにいる職員に聞こえるよう、大きな声で「〇〇さん、応援をお願いします‼︎」と助けを呼びます。応援を呼ぶことは、恥ずかしいことでも、敗北でもありません。チームで対応するための、プロとしての正しい判断です。

STEP
リーダーや上司に、事実を正確に報告する

状況が落ち着いたら、必ずリーダーや上司に報告します。この時、感情的にならず「いつ、どこで、誰が、何を、どのようにしたか」という事実(5W1H)を、客観的かつ正確に伝えることが重要です。

何故その行動に出るのか?アセスメントの視点

涙ながらに頑張る

 安全確保と報告が終わったら、次にすべきは「何故、その行動が起きたのか」という原因を探るアセスメントです。

 これは、再発防止のために不可欠なプロセスです。

行動の「引き金(トリガー)」を探る

 「認知症実践者リーダー」としての視点からお話しすると、全てのBPSDには、必ずその直前に「引き金(トリガー)」となった出来事が存在します。

 その暴言や暴力が起きる、ほんの数秒前、数分前に、何があったのか。

 あなたのどんな声掛けや行動が、あるいは、周囲のどんな環境の変化が、引き金になった可能性を、チームで冷静に振り返ることが重要です。

考えられる5つの背景

 暴言や暴力の背景には、利用者様自身が言葉にできない、様々な原因が隠されています。

  • 身体的苦痛:体のどこかが痛い、便秘で苦しい、発熱でだるいなど。
  • 環境への不快感:部屋が暑い・寒い、テレビの音がうるさい、照明が眩しいなど。
  • 不安や混乱:知らない人(特に新人職員)に囲まれて怖い、これから何をされるか分からなくて不安。
  • プライドの侵害:子ども扱いされた、失敗を指摘されて恥ずかしかったなど、自尊心を傷つけられたと感じた。
  • 過去の記憶の再現:過去の辛い体験や、仕事での役割などが蘇り、現実と混同している。

自分の心をケアする方法【一人で抱え込まない】

 最後に、傷ついてしまった、あなた自身の心の守り方についてお話しします。

信頼できる同僚や上司に「話す」こと

 起きた出来事、そしてその時感じた「怖かった」「悲しかった」という気持ちを、信頼できる同僚や上司に、ありのまま話してください。

 一人で抱え込まず、言葉にして吐き出す(デブリーフィング)は、心の傷を癒すために非常に有効な手段です。

「休む」という権利を行使する

 もし、精神的なショックが大きく、翌日の勤務が怖いと感じるなら、勇気を出して「休む」という選択をしてください。

 それは、決して「逃げ」ではありません。

 自分自身を守り、プロとして仕事を続けていくための、正当な権利です。

専門知識と「安全な職場」が、あなたを守る

職場を探す

 暴言や暴力から身を守るためには、知識と環境が不可欠です。

認知症ケアの知識を深めるための一冊

 BPSDへの理解を深めることは、暴言・暴力を予防し、あなた自身の心を軽くすることに直結します。

 私も含め全ての介護職にまず読んで欲しいと思うのが、認知症ケアの考え方を根底から変えてくれる『ユマニチュード入門』です。

 「見る、話す、触れる、立つ」という具体的な技術が、多くの困難な状況を解決するヒントになります。

スタッフを守ってくれない職場からは、今すぐ逃げるべき

 最後に、介護課長として、最も重要なことをお伝えします。

 利用者様からの暴言や暴力に対し「あなたの対応が悪いからだ」と個人を責めたり、組織としてスタッフを守る体制を整えていなかったりする職場は、絶対にいてはいけない場所です。

 あなたの心と身体の安全は、何よりも優先されるべきです。

 もし、今の職場に少しでも危険を感じるなら、躊躇わずに介護専門の転職エージェントに相談してみてください。

 スタッフの安全教育や、ハラスメント対策に真摯に取り組んでいる「ホワイトな職場」は必ず存在します。

 自分を守るための転職は、最も正しく、最も勇気ある選択です。

まとめ:正しい知識と行動が、利用者様とあなた自身を救う

心を守る介護士

 利用者様からの暴言や暴力は、介護職にとって最も辛い経験の一つです。

 しかし、それに正しく対応し、原因を追求し、そして自分自身の心をケアすることは、あなたにしかできない、極めて専門性の高いスキルです。

 一人で抱え込まず、正しい知識と、周りを頼る勇気を持ってください。

 それが、利用者様と、そして何より、あなた自身を救うことに繋がります。

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