「おむつゼロ」は本当に可能か?排泄自立支援のリアル|介護課長が語る成功への道筋

0を作る介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「おむつゼロを目指しましょう!」

 施設の方針として挙げられるこのスローガン。

 理想的だと頭では分かっていても、現場で働く私たちにとっては「また業務が増える…」「トイレ誘導だけで一日が終わってしまう」という、重いプレッシャーに感じることはありませんか?

 結論から申し上げます。

 おむつゼロは、手段であって目的ではありません。

 無理やりおむつを外すことで、利用者様が疲弊し、職員が燃え尽きてしまっては本末転倒です。

 この記事では、綺麗事ではない、排泄自立支援のリアルと、無理なく成果を出すための具体的な手順、そして福祉用具の賢い活用法まで、私の経験を元に徹底解説します。

目次

「おむつゼロ」が目指す本当のゴールとは

寝ている利用者に寄り添う介護士

 まず、私たちは何のためにおむつを外そうとしているのか、その「ゴール」を再確認する必要があります。

「おむつを外すこと」自体が目的ではない

 単に「施設内のおむつ使用例つを0%にする」ことを目標にしてしまうと、現場は地獄と化します。

 頻繁すぎるトイレ誘導で利用者様の休息を奪ったり、間に合わずに失禁して自尊心を傷つけてしまったり…

 これでは、誰のためのケアか分かりません。

本当の目的は「人間としての尊厳」を取り戻すこと

 私たちが目指すべきゴールは、利用者様が「排泄」という、人間にとって最もプライベートで生理的な欲求を、可能な限り自身の力で、心地よく満たせるようにすることです。

 トイレで排泄できた時の「ああ、すっきりした」という安堵の表情。

 その「尊厳(プライド)」と「快感」を取り戻すことこそが、本当の意味での排泄自立支援なのです。

【実践】排泄パターンをアセスメントし、トイレ誘導の計画を立てる

トイレへお連れする介護士

 では、具体的にどう進めれば良いのでしょうか。

 闇雲にトイレに誘うのはNGです。

 まずは「データ」を集めましょう。

3日間の「排泄表」でパターンを知る

 排泄には、必ずその人なりのリズム(排泄パターン)があります。

 まずは3日間程度、集中的に以下の項目を記録します。

  • いつ(時間)
  • どのくらいの量か
  • 排泄があったか、なかったか(オムツ内確認を含む)
  • 水分摂取のタイミング

 この記録(アセスメント)を分析すると「朝食の30分後に必ず排便がある」「就寝前は尿量が多い」といった法則が見えてきます。

根拠のある「トイレ誘導」へ

 パターンが分かれば、こちらの動き方も変わります。

 「2時間おきの定時誘導」という機械的な対応をやめ「Aさんは朝食ごと、昼食前にトイレにお誘いしよう」という、根拠のある個別ケアへとシフトできます。

 これにより、空振りが減り、利用者様の負担も、私たちの業務量も劇的に減らすことができます。

リハパンやポータブルトイレなど、福祉用具の活用法

家具調のポータブルトイレを運ぶ介護士

 自立支援は、道具(福祉用具)の力を借りることで、成功率がぐんと上がります。

リハビリパンツとパッドの使い分け

 「おむつゼロ」への第一歩は、テープ式おむつから、上げ下げができるリハビリパンツ(パンツ型紙おむつ)への移行です。

  • リハビリパンツ:トイレでの着脱が容易で、「自分で下ろす」という動作を引き出せます。
  • 尿取りパッド:パンツの中にセットすることで、万が一の失禁にも対応でき、安心感を担保します。

「トイレまでの距離」を埋めるポータブルトイレ

 「尿意はあるけれど、トイレまで間に合わない」という方には、居室に設置できるポータブルトイレが強力な味方になります。

 ベッドサイドに設置することで、自身のタイミングで排泄できるようになり、これが自信回復のきっかけになるケースは多いです。

 ただ、ポータブルトイレは「ニオイ」の問題がつきものです。

 居室が臭うと、利用者様の自尊心を傷つけ、家族の面会も遠のいてしまいます。

 私が現場で導入し、劇的に環境を改善できたのが、排泄物のニオイを元から分解するパナソニックのポータブルトイレ用消臭液です。

 こうしたケア用品への配慮も、プロの仕事です。

成功への道筋と、現実的な目標設定

新しい職場を探す介護士

 最後に、この取り組みを継続するためのマインドセットをお伝えします。

成功とは「100点満点」ではない

 いきなり「全ての排泄をトイレで」を目指す必要はありません。

 「1日のうち、朝の1回だけはトイレでできた」

 「おむつの中だったけど、『出た』と教えてくれた」

 これらは全て、立派な「成功」です。

 小さな変化をチームで喜び合うことが、長く続ける秘訣です。

「おむつゼロ」を強要する職場には要注意

 もし、あなたの職場が、利用者様の身体状況や職員の人員配置を無視して、トップダウンで「おむつゼロ」を強要し、現場が疲弊しきっているなら、それは「虐待」に近い状況かもしれません。

 本来の自立支援は、利用者様と職員、双方に笑顔が増えるものです。

 今の環境が苦しいなら、無理な方針を押し付けない、利用者様一人ひとりに合わせたケアを実践している職場へ転職することも、あなたのキャリアを守るための選択肢です。

 介護専門の転職エージェントに相談すれば「排泄ケアの方針」や「人員配置の余裕」など、外からは見えない内部情報を教えてくれます。

まとめ:排泄ケアは、生きる意欲を支えるケア

仲間と一緒の介護士

 排泄自立支援は、単におむつを外す作業ではありません。

 それは「自分でできた」という自信を取り戻し、利用者様の「生きる意欲」を支える、究極のケアです。

 焦らず、データに基づき、道具を活用して、その人らしいペースで進めていく。

 この記事が、あなたの現場での実践のヒントになれば幸いです。

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