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利用者様から、思いがけず投げかけられた、鋭い拒絶の言葉。
「あなたじゃ嫌」
「他の人を呼んで」
その瞬間、頭が真っ白になり、周囲の目も気になって、心に深い傷を負ったような気持ちになりますよね。
そして、自分を責めてしまう。
「私の何がいけなかったんだろう…」と。
この記事は、今まさに心が折れそうになっているあなたに贈る、専門職としての正しい対処法と、あなたの心を守るための「処方箋」です。
まず大前提:ショックな気持ちを否定せず、受け止める

介助拒否に直面した時、最初にすべきことは、技術的な対応ではありません。
まず、あなた自身の「ショックだ」「悲しい」「傷ついた」という気持ちを、あなた自身が認めてあげることです。
それは「個人的な攻撃」ではない
介助拒否は、あなたという人間そのものが否定されたわけでは、決してありません。
その多くは、認知症の症状(BPSD)や、本人様が抱える身体的な苦痛、精神的な不安が、たまたま目の前にいるあなたという「きっかけ」で表出したに過ぎないのです。
それは、あなた個人に向けられた攻撃ではない。
まず、そう理解することが、心を軽くする第一歩です。
自分を責める必要は、1ミリもない
「私の関わり方が悪かったからだ」と自分を責めるのは、今すぐやめてください。
もちろん、私たちの関わり方に改善の余地がなかったかを振り返ることは大切です。
しかし、過度に自分を責めることは、あなたを萎縮させ、ケアへの恐怖心を生むだけで、誰のためにもなりません。
あなたは、何も悪くないのです。
何故?考えられる拒否の理由をアセスメントする

自分の心を受け止めたら、次はプロとして、冷静に「何故、拒否という行動が起きたのか」という理由をアセスメント(分析・評価)する段階に移ります。
利用者様側の要因
拒否の背景には、利用者様自身が言葉にできない、様々な要因が隠されていることがあります。
- 身体的な苦痛:体のどこかが痛くて、触れられたくないのかもしれません。
- 精神的な不安・混乱:認知症の症状により、あなたのことを別の人(例えば、自分を叱る家族など)と誤認しているのかもしれません。
- 過去の経験(トラウマ):あなたの何気ない一言や仕草が、過去の嫌な記憶を呼び覚ましてしまったのかもしれません。
- 異性に対する羞恥心:特に、排泄や入浴といったデリケートなケアの場面で、異性であるあなたに介助されることへの抵抗感があるのかもしれません。
私たちケア側の要因
もちろん、私たちの関わり方が引き金になることもあります。
しかし、それはあなたの人間性の問題ではありません。
- 関わり方の問題:時間に追われて急かしてしまった、無表情で機械的な対応をしてしまった、声かけが足りなかった、など。
- 相性の問題:そして、忘れてはならないのが、人間同士の「相性」です。どれだけ誠実に向き合っても、どうしても生理的に合わない、というケースも残念ながら存在します。
【実践】一度引いて、時間や人を変えてみる

介助拒否が起きたその場で、最もやってはいけないこと。
これは「説得」し「無理強い」することです。
その場で無理強いしない、が鉄則
「ちゃんとしないとダメですよ」などと説得を試みても、興奮を高ぶらせるだけで、状況は悪化します。
無理強いは、利用者様の尊厳を傷つけるだけでなく、虐待に繋がりかねない危険な行為です。
「チーム」で対応する
プロとしての正しい対応は、冷静に、そして速やかにその場を離れることです。
「〇〇さん、申し訳ありません。不快な思いをさせてしいましたね。では、後ほど、別の職員と改めて伺いますね」と伝え、一度引く。
そして、必ずその事実をリーダーや他の職員に報告し「誰が、いつ、どのように再アプローチするか」をチームで相談します。
介助拒否は、あなた一人で抱える問題ではなく、チーム全体で解決すべき課題なのです。
信頼関係を再構築するための小さな一歩

一度拒否されたからといって、その利用者様との関係が終わるわけではありません。
焦らず、小さな一歩から信頼関係を再構築していきましょう。
直接的なケアから、少し離れてみる
まずは、排泄や入浴といった、本人様にとって負担の大きい直接的なケアから、一時的に担当を外してもらうのも一つの方法です。
その代わりに、お茶を渡すだけ「今日の天気は良いですね」と、ケアとは関係のない場面で、穏やかに声をかけるだけ。
そんな、短い接触を繰り返すことから始めてみてください。
あなたの心を守り、学びへと変えるために

介助拒否は、介護職のメンタルを最も削る出来事の一つです。
あなたの心を守るための知識と環境は、何よりも大切です。
物事の捉え方を変える、心の処方箋
私が管理職として、悩んでいる後輩に必ず勧めていたのが、アドラー心理学の教えを分かりやすく解説した『嫌われる勇気』です。
「拒否するという感情は、相手の課題であって、私の課題ではない」と、心を切り分ける「課題の分離」というスキルは、あなたの心を驚くほど軽くしてくれます。
職員を守ってくれる「職場」を選ぶことの重要性
最後に、介護課長として、最も重要なことをお伝えします。
あなたが介助拒否された時、周りの同僚や上司がどう反応したか。
それが、その職場の本当の姿です。
「あなたのやり方が悪かったんじゃない?」と個人を責めたり、フォローもせずに放置したりする職場は、職員を守る気がない、非常に危険な場所です。
健全な職場は、介助拒否を個人の問題ではなく、チーム全体で原因を考え、解決すべき課題として捉えます。
もし、あなたが今の職場で孤立無援の状態なら、あなたの心を守るために介護専門の転職エージェントに相談してください。
職員同士のサポート体制が整っている「ホワイトな職場」は、必ず存在します。
まとめ:介護拒否は、相手を深く知るための「宿題」である

利用者様からの介助拒否は、あなたの心を深く傷つける、辛い経験です。
しかし、それは同時に「私は今、何かを訴えています」という、その方からの大きなメッセージでもあります。
何故、拒否という形でメッセージを送ってきたのか。
その背景をチームで考え、理解しようと努めること。
それは、その利用者様を、これまで以上に深く理解するための、神様が出してくれた「宿題」なのかもしれません。

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