介護職の「食」の知識|介護課長が高齢者の低栄養と食事形態の種類を解説

栄養を気にする女性介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 毎日の食事介助、ただ食べさせるだけの「作業」になっていませんか?

 利用者様にとって「食べること」は、単なる栄養摂取ではありません。

 それは、一日の中で最も大きな楽しみであり、生きる力そのものです。

 私たち介護職が「食」に関する正しい知識を持つことは、利用者様の健康とQOL (生活の質)を維持し、向上させる上で、極めて重要な役割を担います。

 この記事では、介護現場で働く上で最低限知っておきたい、高齢者の低栄養のリスクから、様々な食事形態、そしてとろみの付け方まで、食支援の基本を徹底解説します。

目次

何故高齢者は「低栄養」になりやすいのか?

低栄養を気にする介護士

 まず理解しておくべきなのが、高齢者、特に施設に入所されている方は、常に「低栄養」のリスクと隣り合わせだという事実です。

身体的な変化:噛む力・飲み込む力の低下

 加齢に伴い、歯が弱くなったり、入れ歯が合わなくなったりすることで、食べ物を細かく噛み砕く「咀嚼(そしゃく)能力」が低下します。

 また、食べ物をゴックンと飲み込む「嚥下(えんげ)能力」も衰えてくるため、食事中に咽せやすくなったり、食べることが億劫になったりします。

 これが、食事量の低下を招く、最も直接的な原因の一つです。

精神的な変化:食欲の低下と環境の変化

 身体的な変化だけでなく、精神的な要因も食欲に大きく影響します。

 加齢による味覚や嗅覚の衰え、薬の副作用、あるいは心の落ち込み(うつ状態)などが、食欲不振に繋がることは少なくありません。

 また、長年暮らした自宅とは違う施設という環境の変化が、食事を楽しめなくなる原因となることもあります。

常食、刻み食、ミキサー食…食事形態の種類と特徴

食事形態を気にする介護士

 利用者様の「噛む力」「飲み込む力」に合わせて、食事は様々な形態(食事形態)で提供されます。

 それぞれの特徴を理解し、その方に合った形態を考える視点を持つことが重要です。

食事形態の種類と特徴

 食べる方の状態に合わせて、食事の硬さや形を調整します。

  • 常食(じょうしょく):特別な加工をしていない、普段私たちが食べている食事
  • 刻み食(きざみしょく):常食を包丁で細かく刻んだもの。噛む力が少し弱くなった方向け
  • ソフト食:食材の形が崩れるほど柔らかく煮込んだ食事。刻み食とミキサー食の中間にあたる
  • ミキサー食:食事をミキサーにかけて、なめらかなペースト状にしたもの。飲み込む力が弱い方向け
  • ゼリー食:ミキサー食をゼラチンなどで固めたもの。見た目や喉ごしが良くなり、より飲み込みやすくなる

 このように、食事形態は「常食」から始まり、噛む力や飲み込む力の低下に合わせて「刻み食」⇨「ソフト食」⇨「ミキサー食」⇨「ゼリー食」へと変化していきます。

「とろみ」の付け方の基本と注意点

とろみを付けいてる介護士

 お茶や汁物といった水分は、固形物よりも早く喉に流れ込むため、咽せやすく、誤嚥(ごえん)のリスクが非常に高くなります。

 そのリスクを低減するために不可欠なのが「とろみ」を付ける技術です。

何故「とろみ」が必要なのか

 飲み物や汁物に「とろみ剤」を加えて粘度を調整することで、液体が喉を通過するスピードを緩やかにし、誤って期間に入ってしまうのを防ぎます。

 これにより、利用者様が安全に水分補給できるようになります。

ダマにならない、正しい付け方と濃度の見極め

 とろみ付けで最も重要なのは、ダマにならないように均一に混ぜることです。

 大切なのは、飲み物をスプーンなどで一定方向に混ぜ続けながら、とろみ剤を少しずつ、サラサラと振り入れることです。

 一度に加えると、ダマになってしまい、かえって危険です。

 また、とろみは付けた直後よりも、少し時間を置いた方が強くなる性質があります。

 薄い「フレンチドレッシング状」中間の「とんかつソース状」濃い「ケチャップ状」など、どの程度の濃度が必要かは利用者様によって全く異なるため、看護師や言語聴覚士の指示を必ず確認しましょう。

管理栄養士との連携の重要性

多職種連携

 食事や栄養に関する最高の専門家は、言うまでもなく管理栄養士です。

 私たち介護職の役割は、日々の食事介助を通して得た、利用者様の最も身近な情報を、管理栄養士に正確に伝えることです。

 「最近、〇〇さんは食事を残すことが多いです」「以前より食べるのに時間がかかるようになりました」といった、現場の介護職だからこそ気づける小さな変化の報告が、管理栄養士が最適な栄養プランや食事形態を再検討する上で、何より重要な情報となります。

「食べる喜び」を支える便利アイテムと職場環境

配膳する介護士

 専門的な知識に加え、便利なアイテムや環境を知っておくことも、質の高い食支援に繋がります。

手軽に栄養を補助する「栄養補助食品」

 どうしても食事量が確保できない場合には、栄養補助食品を活用するのも有効な手段です。

 私が現場で最も信頼しているのが、ドラッグストアなどでも手に入る明治の『メイバランス』のようなドリンクタイプのものです。

 少量で高カロリーと栄養をバランスよく摂取でき、味の種類も豊富なので、利用者様の好みに合わせやすいのが特徴です。

自宅でも使える「とろみ剤」と「介護職」

 家庭で介護されている方や、調理の負担を減らしたい時には、市販の介護職やとろみ剤が非常に役立ちます。

 最近の市販の介護職は、味も見た目も驚くほど進化しています。

 また、家庭で使いやすい少量タイプの「とろみ剤」も、一つあるだけで安心感が違います。

「食支援」に本気で取り組む職場を選ぶ

 最後に。

 質の高い食支援は、管理栄養士が常駐し、多職種連携が機能している職場でこそ実現できます。

 もし、あなたの職場が栄養管理を軽視していたり、食事形態の相談ができる専門家がいなかったりするなら、それは利用者様の健康を危険に晒しているサインかもしれません。

 転職を考える際には、施設の栄養ケア・マネジメント体制について、介護専門の転職エージェントに詳しく確認してもらうことを強くお勧めします。

まとめ:「食」の知識は、利用者様の「生きる力」に直結する

食事を楽しむ利用者様

 介護職にとって「食」の知識は、単なる業務知識ではありません。

 それは、利用者様の健康を守り、QOLを高め、そして何より「食べる」という人間にとって根源的な喜びを支えるための、専門的で、愛情のこもったスキルなのです。

 この記事が、あなたの食支援への理解を深め、日々のケアをより豊かなものにする一助となれば幸いです。

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