【介護課長が解説】介護職が知っておくべき「成年後見制度」の基礎知識|利用者の権利を守る盾

利用者に寄り添う介護士

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 「Aさん、最近お金の管理ができていないみたいで、利用料の未払いが続いている…」

 「家族が年金を使い込んでいる疑いがあるけれど、どう介入すれば良いのか…」

 介護の現場で働いていると、ケアの内容以前に、利用者様の「権利」や「財産」に関わる深刻な問題に直面することがあります。

 そんな時、利用者様を守る最後の砦となるのが「成年後見制度」です。

 「難しそう」「法律の話は苦手」と感じるかもしれませんが、この知識は、利用者様の生活を守るだけでなく、トラブルに巻き込まれないために、あなた自信を守る武器にもなります。

 この記事では、介護職として最低限知っておくべきこの制度の基礎を、現場目線で分かりやすく解説します。

目次

成年後見制度とは?判断応力が不十分な人を守る仕組み

考える介護士

 まずは、この制度の全体像をサクッと理解しましょう。

「財産管理」と「身上監護」の2本柱

 成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が不十分な方々を法律的に支援し、守るための制度です。

 家庭裁判所によって選ばれた「成年後見人等」が、本人様に代わって、主に以下の2つの役割を担います。

  • 財産管理
    • 預貯金の管理、不動産の処分、遺産分割協議など、財産に関する契約や手続きを代行します。
  • 身上監護(しんじょうかんご)
    • ここが重要です。これは「食事介助や入浴介助」のことではありません。
    • 医療・介護サービスの契約手続き、施設入所の契約、入院手続きなど、「生活や療養に関する法律行為」を行うことを指します。

 つまり、後見人は「実際にケアをする人」ではなく「契約や財産管理を通して、本人様の生活基盤を整える法律上のパートナー」と言えます。

法定後見と任意後見の2つの種類

指を2本突き出す介護士

 この制度には、大きく分けて「法定後見」「任意後見」の2種類があります。

 利用者様の状態によって、どちらが適用されるかが変わります。

すでに判断能力が低下している場合の「法定後見制度」

 現在、すでに判断能力が不十分な方が利用する制度です。

 判断能力の程度に応じて、さらに3つの類型に分かれます。

  • 後見(こうけん)
    • 判断能力が「欠けている」のが通常の状態。
    • ほとんどの法律行為を後見人が代行でき、ご本人が行った不利益な契約を取り消すことができます。
  • 保佐(ほさ)
    • 判断能力が「著しく不十分」な状態。
    • 借金や不動産売買など、重要な行為について同意権・取消権を持ちます。
  • 補助(ほじょ)
    • 判断能力が「不十分」な状態。
    • 特定の行為についてのみ、サポートを受けます。

将来に備える「任意後見制度」 (H3)

 こちらは、今は元気で判断能力があるが「将来、認知症などで判断能力が低下した時」に備えて、あらかじめ「誰に」「何を」頼むかを契約しておく制度です。

 自分の信頼できる人を自分で選べるのが最大の特徴です。

介護現場で「後見人が必要かも」と感じる瞬間

ピンとくる介護士

 では、私たち介護職は、現場でどのようなサインに気づいたときに「この方には成年後見制度が必要かもしれない」と考えるべきなのでしょうか。

よくある3つのサイン

 私が現場で経験した中では、以下のケースが制度利用のきっかけとなることが多かったです。

  1. 金銭管理のトラブル
    • 「財布がない」と頻繁に訴える。
    • 不要な高額商品(布団や健康食品など)を訪問販売で契約してしまっている。
    • 公共料金や施設利用料の滞納が続く。
  2. 契約・手続きの困難
    • 特養への入所や、病院への入院が必要になったが、契約能力がなく、身寄りもいない(あるいは家族と疎遠)。
    • 遺産相続の手続きが必要になったが、判断能力がなく遺産分割協議に参加できない。
  3. 家族による経済的虐待の疑い
    • ご本人の年金を家族が使い込んでしまい、施設利用料が払われない。
    • 必要な生活用品やおやつを買うお金すら渡されていない。

どこに相談すればいい?地域包括支援センターとの連携

相談する介護士

 「後見人が必要かもしれない」と感じても、介護職が単独で動くことはできませんし、してはいけません。

 正しい連携フローを知っておきましょう。

まずは「報告」そして「地域包括支援センター」へ

 気づきがあったら、まずは必ず施設長やケアマネジャーに詳細を報告します。

 そして、施設として対応が必要と判断された場合、地域の高齢者相談の窓口である「地域包括支援センター(包括)」に相談を繋ぎます。

 地域包括支援センターは、成年後見制度の利用支援の中核機関です。

 そこから、必要に応じて家庭さん板書への申立て手続き(視聴申立てなど)へと進んでいきます。

 私たちの役割は、日々の観察から「異変」に気付き、専門機関へバトンを渡すことです。

権利擁護の視点を深めるための学びと環境

勉強する介護士

 この制度は非常に奥が深く、法律も関わるため、苦手意識を持つ方も多いでしょう。

 しかし、知識は利用者様を守る盾になります。

分かりやすい入門書を一冊持つ

 制度の仕組みをもっと詳しくでも簡単に知りたい方には、イラストや図解が豊富な入門書がお勧めです。

 『図解で分かる!成年後見制度』のような書籍を一冊手元に置いておくと、いざという時に辞書がわりに使えて便利です。

 家族への説明の際にも役立ちます。

権利擁護意識の高い職場で働く

 また、こうした「権利擁護」に対する意識は、職場の質に大きく左右されます。

 もし、あなたの職場が、利用者様の金銭トラブルや虐待の疑いを「面倒だから」と見て見ぬ振りをするような環境なら、それは専門職として働くにはあまりに危険な場所です。

 コンプライアンスを遵守し、利用者様の権利を本気で守ろうとする「まともな職場」は必ずあります。

 違和感を感じたら、介護専門の転職エージェントに相談し、権利擁護や虐待防止の体制が整っている法人の情報を集めてみてください。

まとめ:制度を知ることは、利用者様の「人生」を守ること

仲間と利用者に寄り添う介護士

 成年後見制度は、判断能力が低下しても、その方がその方らしく、安心して地域で暮らすための命綱です。

 私たち介護職が、その制度の入り口となる「気づき」を持つこと、それは、利用者様の財産だけでなく、その後の「人生」そのものを守ることに繋がっていきます。

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