【介護課長が解説】介護現場の感染症対策|自分と利用者様を守る基本と実践

感染予防

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 介護現場において、感染症対策は、利用者様の命、そして私たち自身の健康と生活に直結する、最も重要な業務の一つです。

 「マニュアル通りにやっているから大丈夫」と思っていても、その手順の一ひとつの「何故?」を理解していなければ、いざという時に本当の意味で適切な対応はできません。

 この記事では、全ての基本となる「標準予防策」から、コロナ禍を経て改めて重要性が増した実践のポイントまで、あなたと大切な利用者様を守るための知識を、私の経験を元に解説します。

目次

全ての基本「標準予防策(スタンダードプリコーション)を徹底する

手洗い消毒

 感染症対策と聞くと、インフルエンザやノロウイルスなど、特定の感染症をイメージするかもしれません。

 しかし、現代の介護現場における基本は「標準予防策(スタンダードプリコーション)」という考え方です。

「全ての人は感染症の可能性がある」と考えるのが出発点

 標準予防策の最も重要な原則は、「全ての人の血液、体液、分泌物、排泄物、傷のある皮膚・粘膜は、感染症の有無に関わらず、感染の可能性があるものとして扱う」というものです。

 これは、利用者様や同僚を疑うということでは決してありません。

 誰かを特別扱いすることなく、全ての人に対して、常に一定水準の高いレベルでケアを提供するための、専門職としての普遍的な予防策なのです。

具体的に何をすべきか

 この標準予防策の具体的な実践の中心となるのが、後述する「手指衛生」「個人防護具(PRE)の適切な使用」です。

 ケアの内容に応じて、手袋やマスク、エプロン、ゴーグルなどのを適切に使い分けることで、病原体が自分自身や、他の利用者様へ広がるのを防ぎます。

正しい手指衛生(手洗い・消毒)のタイミングと手順

手洗い

 感染症対策の基本にして、最も効果的な方法が「手指衛生」です。

「1ケア1手洗い」が感染対策の鉄則

 介護現場では、「1ケア1手洗い(または手指消毒)」が鉄則です。

 具体的には、「一人の利用様のケアの前に、そしてケアの後に」必ず手指衛生を行います。

 例えば、A様の排泄介助をした後、その足でB様の食事介助に入る、などは絶対にあってはなりません。

 また、ケアの途中でも、おむつに触れた手で、そのまま利用者様の身体に触れるといった行為も交差感染の大きな原因となります。

意外とできていない?正しい「手洗い」と「消毒」の手順

 正しい手指衛星とは、ただ石鹸をつけたり、消毒液を手に取ったりするだけではありません。

 石鹸を使った手洗では、流水で手を濡らした後、指の間、指先、爪、親指の付け根、そして手首まで、洗いの腰がないように30秒以上かけて丁寧に擦り合わせることが重要です。

 アルコールによる手指消毒の場合も同様に、乾燥するまで15秒以上かけて、これらの箇所にしっかりと擦り込むことを徹底してください。

嘔吐物処理など、感染リスクが高い場面での対応

消毒中

 日々の業務の中でも、特に感染リスクが跳ね上がる場面があります。

 その代表例が「嘔吐物処理」です。

ノロウイルスなどを想定した「嘔吐物処理」の鉄則

 ノロウイルスなどを想定した嘔吐物処理では、迅速かつ正確な対応が求められます。

 まず、慌てずに窓を開けて換気し、他の利用者様をその場から遠ざけます。

 処理にあたるスタッフは、使い捨てエプロン、マスク、手袋を二重に装着し、ペーパータオルなどで外側から内側へ静かに嘔吐物を拭き取ります。

 その後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を希釈した消毒液で、広範囲を丁寧に消毒することが、感染拡大を防ぐ上で不可欠です。

コロナ禍を経て変わったこと・変わらないこと

消毒中

 世界中を混乱させたコロナ禍は、私たちの介護現場にも大きな影響を与えました。

変わったこと:マスク着用の常態化と、面会制限の経験

 コロナ禍を経て、ケアの場面以外でもマスクを着用することが当たり前になり、スタッフだけでなく利用者様の間でも、感染症対策への意識が全体的に向上しました。

 また、苦渋の決断であった厳しい面会制限を経験したことで、私たちは、いかに利用者様と家族様の繋がりが大切であるかを再認識させられました。

変わらないこと:手指衛星という普遍の原則

 一方で、どんなに新しい感染症が出現しようとも、対策の基本が変わらないことも明らかになりました。

 その中心にあるのが、やはり「手指衛生」です。

 どんな状況であっても、ケアの基本として正しい手洗いと消毒を徹底することとこそが、未知の感染症から身を守るための、最も確実で普遍的な方法なのです。

感染対策の質を高める便利グッズと職場選び

アルコールとゴム手袋

 最後に、プロとして感染症対策の質をさらに高めるための、具体的な工夫と環境選びについてお話しします。

プロとして備えたい「個人防衛」アイテム

 施設が備品を用意してくれても、自分自身で質を高める工夫も大切です。

 頻繁な手洗で荒れがちな手指を守るため、保湿成分が高く、ベタつかないプロ仕様のハンドクリームは必須アイテムです。

 また、個人で持ち歩く携帯用アルコール消毒ジェルも、いざというときに役立ちます。

 知識を深めるなら、イラストや写真で分かりやすく解説された『介護・福祉施設のための感染症マニュアル』のような専門書を一冊手元に置くと、根拠に基づいた対応ができるようになります。

感染対策への意識が高い「安全な職場」の選び方

 最も重要なのは、施設全体で感染症対策への意識が高い環境で働くことです。

 個人でどれだけ気をつけていても、組織の体制が杜撰では意味がありません。

 感染症対策の研修制度は整っているか、必要な備品(手袋や消毒液)は十分に供給されているか。

 これらは、あなたの健康と安全を守る上で、給与以上に重要な職場選びの基準です。

 転職を考える際には、介護専門の転職エージェントに、そうした施設の安全管理体制について詳しく確認してもらうことを強くおすすめします。

まとめ:感染対策は、専門職としての「責任」と「愛情」である

消毒している女性介護士

 感染症対策は、面倒なルールーや作業ではありません。

 それは、利用者様の命と健康を守るという、専門職としての「責任」の表れです。

 そして同時に、大切な利用者様を感染症から守りたいという、私たちの「愛情」を具体的に示す行為でもあります。

 この記事で解説した基本を徹底することが、あなた自身と、あなたがケアする全ての人々を守ることに繋がります。

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