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「また報告書か…」
「自分のミスを責められるようで、書くのが憂鬱だ」
ヒヤリハット報告書に対して、あなたはそんなネガティブな感情を抱いていませんか?新人時代、私もそうでした。
しかし、それは大きな誤解です。
介護課長として、数えきれないほどの報告書を読み、指導してきた私が断言します。
ヒヤリハット報告書は、あなたの失敗を責めるためのものではありません。
それどころか、未来の重大な事故を防ぎ、あなた自身とチームを成長されるための「宝の山」なのです。
この記事では、あなたの報告書を「ただの面倒な作業」から「現場を変える価値ある一枚」へと昇華させるための、具体的な書き方のコツを具体例を交えて徹底解説します。
ヒヤリハットは「宝の山」書くことの本当の目的

上手な書き方を学ぶ前に、まず「何故書くのか」という目的を理解することが、質の高い報告書への第一歩です。
目的①:「個人の失敗」を「組織の学び」に変えるため
ヒヤリハット報告書の目的は、決して「犯人探し」ではありません。
あなたが経験した「ヒヤリ」とした体験は、他のスタッフも同じ状況で経験する可能性があります。
その体験を報告書として共有することで「個人の失敗」は「組織全体の貴重な学び」へと変わります。
そうして組織全体のリスクマネジメント能力を高めていくことが、最大の目的です。
目的②:重大な事故を未然に防ぐための「予兆」を掴むため
一つの重大な事故の背景には、29の軽微な事故と、300のヒヤリハットが隠れているという法則があります。
つまり、あなたが見つけた小さな「ヒヤリ」は、氷山の一角であり、重大な事故の「予兆」なのです。
この予兆の段階で目を摘み、再発防止に繋げることが、利用者様と私たち自身を守る上で何よりも重要になります。
【5W1Hで書く】事実を客観的に記述するコツ

客観的な事実を正確に伝えるには、5W1Hのフレームワークを使うのが最も効果的です。
これにより、誰が読んでも同じ情景を思い浮かべられる具体的で誤解のない報告書を作成できます。
報告書の質を高める5W1Hの基本
5W1Hとは、以下の6つの要素を明確に記述するためのフレームワークです。
これらを意識するだけで、報告の具体性と客観性が飛躍的に向上します。
- When(いつ): 事実が発生した日時・時間帯
- Where(どこで): 発生した場所
- Who(誰が): 関係者、当事者
- What(何を): 発生した事象、対象物
- Why(なぜ): 原因や背景、動機
- How(どのように): 状況の具体的な様子、経緯、手段
介護現場の具体例で見る「悪い報告」と「良い報告」

5W1Hが欠けていると、報告は曖昧で主観的なものになります。
逆に、全ての要素が含まれていると、具体的で客観的な記録となり、的確なケアにつながります。
例①:転倒しそうになったケース
- 悪い例 ❌: 「夕食後、Aさんが転倒しそうになった。」
- これでは、状況の緊急性や原因が全く分かりません。
- 良い例 ✅:
- When: 18時半頃
- Where: 食堂から居室へ向かう廊下の角で
- Who: Aさんが
- What: 歩行中にふらつき、転倒しそうになった
- Why: 本人曰く「急に足に力が入らなくなった」ため
- How: 前のめりになり、壁に手をついて何とか持ちこたえた
例②:食事を拒否されたケース
- 悪い例 ❌: 「Bさんが昼食を食べなかった。」
- 理由や様子が不明なため、次の対応を考えにくいです。
- 良い例 ✅:
- When: 12時15分頃の昼食時
- Where: 食堂のテーブルで
- Who: Bさんが
- What: 配膳された昼食(白米、味噌汁、焼き魚)に一切手をつけなかった
- Why: 声をかけると「食欲がない」と小声で話されたため
- How: 箸を持たずに、うつむいたまま静かに座っていた
例③:利用者様同士の口論のケース
- 悪い例 ❌: 「CさんとDさんが喧嘩していた。」
- 何が原因で、どの程度のトラブルだったのかが分かりません。
- 良い例 ✅:
- When: 午前10時頃
- Where: 共有の談話室で
- Who: CさんがDさんに対して
- What: テレビのチャンネルを巡って口論になった
- Why: Dさんが見ていた番組を、Cさんが無断で変えたことがきっかけで
- How: Cさんが大声で主張し、Dさんが怒鳴り返した。職員が介入し、双方を別々の場所に案内して落ち着いていただいた
客観的に書くための追加のコツ

5W1Hに加えて以下の点を意識すると、さらに質の高い報告書になります。
- 事実と意見を分ける: 「危なかった」「大変だった」といった自分の感情や感想は含めず、「〜という事実があった」と記述します。意見は、事実を述べた後の所感や考察の欄に書きましょう。
- 具体的な数字を使う: 「しばらくの間」ではなく「約10分間」、「多くの利用者」ではなく「談話室にいた5名の利用者」のように、具体的な数値で表現します。
- 見たまま・聞いたままを書く: 「〜だと思った」「〜だろう」といった推測ではなく、「本人が『〜』と話した」「〜しているのを確認した」など、実際に見聞きした客観的な情報を記述しましょう。
良い報告書の出発点は、感情や推測を交えず、事実をありのままに、客観的に記述することです。
以上のコツを踏まえて書くと、今まで以上に質の高いヒヤリハット報告書を書くことができるでしょう。
リスクマネジメント能力を高めるための自己投資

ヒヤリハット報告書を上手に書く能力は、すなわちリスクマネジメント能力です。
このスキルは、日々の学習でさらに磨きをかけることができます。
私が介護課長として、リーダー層に必ず読むよう勧めていたのが『失敗学のすすめ』です。
失敗を個人の責任で終わらせず、組織の財産に変えるための考え方は、介護現場にこそ必要です。
また、論理的に原因を分析する力を養うには『ロジカル・シンキング』のような思考法に関する書籍も非常に役立ちます。
あなたの「安全」を守ってくれる職場を選ぼう

最後に、最も重要なことをお伝えします。
ヒヤリハット報告書を個人の責任追及(犯人探し)の道具として使うような職場からは、今すぐ離れるべきです。
報告を恐れて隠蔽が横行する職場では、必ず重大な事故が起こります。
スタッフの小さな「ヒヤリ」を組織の大きな「学び」として歓迎し、安全対策に真摯に取り組む文化があるかどうか。
それは、あなたが長く安心して働く上で、給与や待遇以上に重要な指標です。
今の職場に不安を感じるなら、介護専門の転職エージェントに相談し、施設の安全管理体制や研修制度について、プロの視点から情報を得てみてください。
まとめ:一枚の報告書が、未来の事故を防ぎ、あなたを育てる

ヒヤリハット報告書は、面倒な義務ではありません。
それは、未来の事故から利用者様を守り、チームのレベルを上げ、そして何より、あなたの問題解決脳旅行を向上させる、最高のトレーニングツールです。
一枚の報告書の質を変えることが、明日の現場の安全と、あなた自身の成長に繋がります。

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