介護現場の「口腔ケア」で誤嚥性肺炎を予防する!!介護課長が教える正しい手順と連携術

利用者に歯磨きする介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「たかが歯磨き、されど歯磨き」

 日々の業務に追われていると、つい口腔ケアが後回しになったり、流れ作業になってしまったりすることはありませんか?

 私が新人職員に最も口酸っぱく指導していたのが、この口腔ケアです。

 何故なら、口腔ケアは単に口の中を綺麗にするだけでなく、高齢者の命を奪う「誤嚥性肺炎」を防ぐ、唯一にして最大の防御作だからです。

 この記事では、利用者様の命と「食べる喜び」を守るために、私たち介護職が知っておくべき口腔ケアの重要性と、プロとして実践すべき正しい手順、そして歯科専門職との連携について解説します。

目次

何故口腔ケアが命に関わるほど重要なのか

考える介護士

 高齢者にとって、口の中の清潔さは、全身の健康状態に直結します。

「誤嚥性肺炎」という静かな脅威

 高齢者の死因の上位を占める「誤嚥(ごえん)性肺炎」

 これは、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまう際、口の中の最近も一緒に肺へ侵入することで引き起こされます。

 特に恐ろしいのは、食事中だけでなく、就寝中に唾液が気管に垂れ込むことで起きる「不顕性誤嚥」です。

 つまり、口の中を清潔に保ち、細菌の数を減らしておくことこそが、誤嚥のリスクを下げ、利用者様の命を守ることに繋がるのです。

「食べる喜び」と認知症予防

 また、口腔ケアは「食べる機能」の維持にも不可欠です。

 口の中が清潔で潤っていれば、食事が美味しく感じられ、食欲が増進します。

 さらに、噛むことによる刺激は脳の血流を良くし、認知症の進行予防や覚醒レベルの向上にも効果があると言われています。

【実践】正しい歯磨き・義歯洗浄の手順と注意点

入れ歯を洗う介護士

 それでは、具体的なケアの手順を見ていきましょう。

 ただブラシを動かすのではなく、根拠に基づいた手順が大切です。

歯磨きの基本手順と出血時の対応

 歯磨きは、食べかすを取るだけでなく、歯垢(プラーク)を除去することが目的です。

  1. 姿勢を整える:誤嚥を防ぐため、顎を引き、少し前傾姿勢になってもらいます。
  2. うがい・保湿:口の中が乾燥していると粘膜を傷つけやすいため、まずは水で湿らせたり、保湿ジェルを塗布したりします。
  3. ブラッシング:歯ブラシを歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かします。力任せにゴシゴシ擦る必要はありません。
  4. 出血した場合:歯茎が腫れているサインかもしれません。慌てずに優しくケアを続け、続くようなら歯科医や看護師に報告しましょう。

義歯(入れ歯)洗浄の鉄則

 義歯は非常にデリケートで高価なものです。

 取り扱いは慎重に行いましょう。

  • 水を張った洗面器の上で洗う:万が一落としても割れないよう、必ず水を張った容器の上で洗浄します。
  • 専用ブラシを使う:歯磨き粉は研磨剤が入っており、義歯を傷つけて細菌の温床を作ってしまうため、使用してはいけません。流水と義歯用ブラシで汚れを落とします。
  • 就寝時は水につける:乾燥による変形を防ぐため、夜間は専用の容器に水(または洗浄液)を入れて保管します。

うがいができない方への口腔ケア(口腔清拭)

スポンジブラシを持っている介護士

 麻痺があったり、認知症が進んで「うがい」ができない方へのケアは、特に誤嚥リスクが高いため、慎重な対応が求められます。

水分量の調整が命を守る

 うがいができない方のケアで最も重要なのは「水分のコントロール」です。

 歯ブラシやスポンジブラシに含ませた水が多すぎると、それが喉に流れ込み、誤嚥の原因になります。

 必ず、コップの縁などでしっかりと絞り、水が滴らない状態(湿っている程度)にしてから口に入れましょう。

スポンジブラシの活用と便利グッズ

 粘膜の清掃には、歯ブラシではなく、柔らかいスポンジブラシが適しています。

 頬の内側や舌の汚れ(舌苔)を、奥から手前へ優しく拭き取ります。

 私が現場で愛用していたのが「マウスピュア」の口腔ケアスポンジです。

 軸が丈夫で操作しやすく、スポンジの硬さや絶妙で、利用者様に痛みを与えずにケアができます。

 また、口が開きにくい方には、無理に指を入れず、専用の開口器(バイトブロック)などを使用するのもプロの技です。

歯科医や歯科衛生士との連携のポイント

歯科衛生士と相談する介護士

 私たち介護職だけで解決できない問題は、専門家の力を借りることが不可欠です。

プロの視点を入れる(口腔ケアマネジメント」

 多くの施設では、訪問歯科診療が入っています。

 歯科医や歯科衛生士は、治療だけでなく、その方に合ったケア用品の選定や、専門的なクリーニングも行ってくれます。

 「入れ歯が合わなくて痛そう」「口臭が強くなった気がする」といった日々の気づきを、連絡ノートなどを通じてこまめに報告し、プロの視点で評価してもらうことが重要です。

変化を伝える「繋ぎ役」としての介護職

 歯科専門職は毎日来られるわけではありません。

 普段の食事の様子や、ケアへの拒否の有無など、利用者様の「生活の様子」を一番知っているのは私たちです。

 私たちの情報提供が、歯科治療の方針を決める大きな材料になります。

 私たちは、利用者様と歯科医療を繋ぐ、重要な「架け橋」なのです。

スキルアップと、ケアの質を高める職場選び

新しい職場を探す介護士

 口腔ケアは奥が深く、学ぶほどにケアの質が向上します。

知識を深めるための一冊

 より専門的な知識や、拒否がある方への対応などを学びたい方には、写真やイラストで擬態的に解説されている『介護職のための口腔ケア実践ガイド』のような専門書が一冊手元にあると、非常に心強いです。

 根拠を持ったケアは、あなたの自信に繋がります。

口腔ケアを重視する職場は「良い施設」

 最後に。

 口腔ケアに力を入れるかどうかは、その施設の「ケアの質」を測る重要なパロメーターです。

 口腔ケアを疎かにする施設は、誤嚥性肺炎のリスクを軽視しており、利用者様の命を守る意識が低いと言わざるを得ません。

 もし、あなたの職場が、時間がないことを理由に口腔ケアを雑に行っているなら、それはプロとして働くには危険な環境かもしれません。

 介護専門の転職エージェントに相談し「口腔ケアや食事介助に丁寧に時間をかけている施設」を探してみることも、あなたのキャリアと利用者様を守るための賢明な選択です。

まとめ:口腔ケアは、生きる力を支える「命のケア」

歯医者と仲良しな介護士

 口腔ケアは、単なる口の掃除ではありません。

 それは、誤嚥性肺炎から命を守り、美味しく食べる喜びを支え、その人らしい生活を維持するための、最も基本的で、最も重要な「命のケア」です。

 あなたの丁寧なケアが、利用者様の毎日の「美味しい」と「笑顔」を作っています。

 その誇りを胸に、今日のケアに向き合ってください。

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