認知症の「アセスメントシート」の書き方と活用法|介護課長が教えるケアプランへの繋げ方

情報を収集する介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「アセスメントシートの空欄が埋まらない…」

 「書くことが目的になってしまって、実際のケアに活かせていない気がする」

 書類業務の多さに追われる中で、アセスメントを「面倒な作業」と感じてしまっていませんか?

 断言します。

 アセスメントシートは、単なる記録用紙ではありません。

 それは、言葉で思いを伝えられなくなった認知症の方の「心の声」を翻訳し、その人らしい生活を取り戻すための「宝の地図」なのです。

 この記事では、書類作成が苦手だった私自身が、現場で実践しながら掴んだ、本当に役立つアセスメントシートの書き方と、それを生きたケアに繋げるための活用法を徹底解説します。

目次

何故アセスメントシートが必要なのか?

利用者と話す介護士

 書き方の前に、まず「何故書くのか」という目的を再確認しましょう。ここがブレていると、ただの「穴埋め作業」になってしまいます。

ケアの「羅針盤」を作るため

 認知症の方の行動には、必ず理由があります。

 「帰りたい」と叫ぶのも「食事を拒否する」のも、その裏には不安や体調不良、過去の生活習慣といった背景が隠れています。

 アセスメントとは、その背景(理由)を探る旅です。

 シートに情報を整理することは、暗闇の中で迷子になっている利用者様を、安心できる場所へと導くための「羅針盤」を作ることと同じなのです。

「その人」を深く知るための唯一のツール

 私たちはつい「認知症の〇〇さん」として見てしまいがちです。

 しかし、アセスメントシートを通じて、その方の生い立ち、仕事、趣味、大切にしてきた価値観を掘り下げることで「かつて教師として教壇に立ち、厳しくも生徒思いだった〇〇さん」という、一人の人間としての輪郭が浮かび上がってきます。

 これこそが、尊厳あるケア(パーソン・センタード・ケア)の出発点です。

【項目別】情報収集のポイントと聞き取りのコツ

利用者から情報を得る介護士

 良いアセスメントは、良い情報収集から始まります。

 項目ごとの、プロの着眼点をお伝えします。

ADL・IADL:できる・できないの「境界線」を見極める

 食事や排泄などのADL(日常生活動作)を確認する際「できる/できない」の二択で片付けてはいけません。

 「ボタンは留められないが、袖を通すことはできる」「尿意はあるが、トイレの場所が分からない」といった、できること(残存機能)と、支援が必要なことの境界線を細かく記述します。

 ここが、過剰介護を防ぎ、自立支援を促すポイントになります。

生活歴・性格:家族を巻き込んだ「思い出話」

 本人様から情報を聞き出すのが難しい場合、家族様の協力が不可欠です。

 しかし「性格はどうですか?」と唐突に聞いても、家族様も答えにくいものです。

 「昔、どんなお仕事をされていましたか?」「休日は何をして過ごすのがお好きでしたか?」と、アルバムを見ながら思い出話をするように聞き取ってみてください。

 そこには、現在のBPSD(行動・心理症状)を紐解くヒントや、ケアに活かせる「こだわり」がたくさん詰まっています。

面接のコツ:「尋問」ではなく「会話」にする

 クリップボードを持って「次、質問しますね」と構えてしまうと、相手は緊張し、本音を話せません。

 お茶を飲みながら、あるいは散歩の途中で「今日はいい天気ですね。昔もよく散歩されたんですか?」と、世間話の延長で情報を引き出すのが、ベテランのテクニックです。

集めた情報をどう分析し、ケアプランに繋げるか

勉強する介護士

 情報を集めただけでは、ケアは変わりません。

 ここからが介護職の腕の見せ所「分析(統合)」のフェーズです。

バラバラの情報を「物語」として繋げる

 例えば「夕方に不穏になる(事実)」「昔、兼業主婦だった(生活歴)」「足腰は丈夫(身体機能)」という情報を繋げてみましょう。

 すると「夕方になると、夕飯の支度をしなければという記憶が呼び起こされ(原因)、台所に立とうとして落ち着かなくなるのではないか(仮説)」という物語が見えてきます。

仮説に基づいたケアプランの立案

 この分析ができれば、ケアプランは自然と決まります。

 「帰れません」と止めるのではなく「夕方、タオル畳などの家事動作(役割)を提供し、主婦としての自尊心を満たす」という具体的なプランが導き出されるのです。

分析力を高めるための「学び」

 この「情報の分析力」は、一朝一夕には身につきません。

 私が現役時代、アセスメントの思考法を鍛えるためにボロボロになるまで読み込んだのが『認知症ケアの標準テキスト』や、事例検討に特化した専門書です。

 正しい知識という「レンズ」を通すことで、見えなかった利用者様の真実が見えるようになります。

書くだけで終わらせない!!チームで共有・更新する仕組みづくり

仲間と一緒に勉強する介護士

 最後に。

 どんなに素晴らしいアセスメントシートも、ファイルに閉じ込められていては意味がありません。

申し送りとカンファレンスで「生きた情報」にする

 作成したシートの内容は、必ずチームで共有します。

 特に「何故その行動をするのか」という分析結果を共有することは、職員による対応のバラつきをなくし、ケアの統一を図る上で不可欠です。

 申し送りの時間に「シートにはこうありましたが、今日の様子はどうでしたか?」と問いかけ、日々の変化に合わせて情報をアップデートし続けることが重要です。

アセスメントを軽視する職場なら…

 もし、あなたの職場が「書類なんて適当でいいから、とにかく業務を回して」という雰囲気で、利用者様一人ひとりに向き合う時間を許さないなら、それは専門職としての成長を阻害する環境かもしれません。

 質の高いアセスメントとケアプランの実践は、十分な人員配置と、理念のある職場でこそ可能です。

 介護専門の転職エージェントに相談し「認知症ケアに力を入れている」「ユニットケアが機能している」施設を探してみることも、あなたのキャリアにとって重要な選択肢です。

まとめ:アセスメントシートは、利用者様への「ラブレター」

利用者へラブレターを書く介護士

 アセスメントシートを書くことは、実務作業ではありません。

 それは「あなたのことをもっと知りたい」「あなたらしく生きてほしい」という、私たち利用者様への、専門的で、熱烈な「ラブレター」を書くことと同じなのです。

 その一枚のシートが、利用者様の笑顔を引き出し、チームのケアを変える力を秘めています。

 是非、今日から「謎解き」を楽しむ気持ちで、ペンを執ってみてください。

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