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「〇〇さんの家族様に、電話しなきゃ…」
そう考えただけで、胃がキリキリと痛む。そんな経験はありませんか?
私たちが日々向き合っているのは、利用者様本人酒ではありません。
その方を何十年も愛し、育て、そして「介護施設に預ける」という、重い決断をされた、家族様の複雑な想いです。
この記事では、家族様との間に、クレームではなく、揺るぎない「信頼関係」を築くための、具体的で、すぐに使えるコミュニケーション術を、私の経験からお話しします。
家族が介護施設に求めていること(不安と罪悪感)を理解する

技術の前に、まず私たちが理解すべきは、家族様が抱える、深く複雑な心理です。
「預けてしまった」という罪悪感
家族様の多くは「本当は、自分が家でみるべきだったのではないか」という、言葉にできないほどの深い「罪悪感」を抱えています。
その罪悪感が「職員は、ちゃんと手厚く介護してくれているんだろるか」という、施設に対する厳しい目となって現れるのです。
「様子がわからない」という不安
そして、何よりも「不安」です。
自分がいない場所で、大切な家族様がどう過ごしているのか、寂しい思いをしていないか、辛い思いをしていないか。
その「様子がわからない」という不安こそが、コミュニケーション不全の最大の要因となります。
私たちがまずやるべきことは、この罪悪感と不安に、そっと寄り添うことです。
【基本】ポジティブな報告を「何も無い時」にこそ行う

では、どうすれば信頼関係を築けるのか。
最も簡単で、最も効果的な方法が「ポジティブな報告」を、問題が起きていない、平穏な時にこそ、積極的に行うことです。
「信頼の貯金」を積み重ねる
家族様への連絡が「熱が出ました」「転びました」といったネガティブな報告ばかりになっていませんか?
これでは、電話が鳴るたびに、家族様の不安を煽るだけです。
そうではなく、以下のような、ささやかでもポジティブな日常を、こちらから積極的に発信するのです。
- 「〇〇さん、今日のお昼、好物の煮物が出たら『美味しい』と、全部召し上がっていましたよ」
- 「今日のレクリエーションで、〇〇さんが一番大きな声で笑っていらっしゃいました」
- 「お孫さんの話を、とても嬉しそうに私にしてくださいました」
こうした小さな報告の積み重ねが「この施設は、うちの家族をしっかり見てくれている」という安心感に変わり、あなたと家族様の間に「信頼の貯金」が貯まっていきます。
【応用】難しい話を伝える時の「クッション言葉」の使い方

とはいえ、転倒や体調不良など、難しい話を伝えなければならない場面は必ず訪れます。
そんな時「信頼の貯金」があるかないかで、家族様の受け止め方は全く変わってきます。
難しい話を伝える時は「事実」を単刀直入に投げるのではなく、相手の心を守る「クッション言葉」を必ず使いましょう。
クレームを防ぐ「クッション言葉」の実践例
例えば「Aさんが転倒しました」と伝えるのではなく、以下のように構成を組み立てます。
- クッション言葉(心の準備を促す):「〇〇様、今、お時間よろしいでしょうか。落ち着いて聞いていただきたいのですが…」
- 事実の報告(簡潔に):「先ほど、A様が居室で立ち上がられた際に、バランスを崩され、尻餅をつかれるということがありました」
- 対応と現状(安心材料の提供):「すぐに看護師が確認し、幸いお怪我や、痛みの訴えはございません。今はリビングで、穏やかにお茶を飲んでいらっしゃいます」
- 謝罪と再発防止(誠意):「お怪我がなかったとはいえ、私どもの見守りが及ばず、ご心配をおかけし、誠に申し訳ありません。今後は、立ち上がりの際にセンサーが鳴るよう設定を見直します」
この順番で伝えるだけで、家族様が感じる衝撃と不安は、最小限に抑えられます。
いわゆる「モンスターファミリー」にさせないための初期対応

時折「モンスターファミリー」という言葉を耳にすることがありますが、私は、最初からそうであった家族様を、ほとんど見たことがありません。
多くの場合、私たちの「小さなコミュニケーション不足」や「不誠実な対応」が、家族様の不安を増大させ、結果として、強いクレームや要望という形で現れるのです。
もし、家族様から強い口調で指摘を受けた場合、最もやってはいけないのは「でも」「しかし」と、防御的になったり、言い訳をしたりすることです。
まずは「そうお感じになられたのですね、不安な思いをさせてしまい、申し訳ありません」と、家族様の「感情」そのものを、100%受け止めてください。
その上で「私一人では判断できかねますの管理職に正確に報告し、必ずチームとしてお返事させていただきます」と伝え、安易な約束をせず、組織として誠実に対応することが、実態の鎮静化に繋がります。
あなたの「伝える力」を支える知識

こうした家族様との高度なコミュニケーションは、才能ではなく「技術」です。
そして、その技術は、知識によって磨くことができます。
私が管理職として、職員の人間関係の悩みに対し、いつもすすめていたのが、アドラー心理学の考え方です。
「家族様がどう感じるかは、家蔵様の課題。私たちの課題は、誠実に事実を伝え、最善のケアを尽くすこと」と、課題を分離して考えることで、あなたの心は、過度なプレッシャーから解放されます。
また、家族様との信頼関係の構築に悩んだ時は、相手のニーズと自分のニーズを尊重しながら対話するための、具体的なヒントを私にくれました。
最後に:最高のコミュニケーションは「良い職場」から生まれる

ここまで技術的な判詞をしてきましたが、介護課長として、最後に最も重要なことをお伝えします。
家族様へ、ポジティブな報告をする。
その「たった数分の電話」をかける余裕すらなもないほど、現場が人手不足で疲弊しているとしたら、それはあなたの技術の問題ではなく「職場環境」の問題です。
職員が日々の業務に追われ、心がすり減っている職場では、家族様に寄り添う、質の高いコミュニケーションなど、絶対に生まれません。
もし、あなたが今「クレーム対応」ばかりに追われ、介護本来のやりがいを見失いかけているなら、それはあなたのせいではありません。
職員同士が助け合い、家族様とも良好な信頼関係が築けている「ホワイトな職場」へ、環境を変えることを真剣に考えてください。
介護専門の転職エージェントに相談すれば、そうした「人間関係」や「風通しの良さ」といった、求人票では見えないリアルな内部情報を持っています。
あなたのその誠実な気持ちが、正しく報われる場所で働いてほしいと、心から願っています。
まとめ:家族連携は、利用者様の笑顔を守る「チームケア」
家族様とのコミュニケーションは、クレームを恐れて行う「防御作業」ではありません。
それは、利用者様という一人の人間を、施設と家族という「チーム」で支え、その方の笑顔を守るための、最も重要で、最もやりがいのある「チームケア」そのものなのです。

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