介護職の「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?介護課長が教える限界サインと予防策

燃え上がる介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「あんなにやりがいを感じていたはずなのに、今は、利用者さんの笑顔を見ても、何も感じない」

 「朝、仕事に行こうとすると、身体が鉛のように重く、涙が出そうになる…」

 もしあなたがそんな状態なら、それは「怠け」でも「気の緩み」でもありません。

 それは、あなたの心が「もう限界だ」と悲鳴を上げている「燃え尽き症候群(バーンアウト)」という、深刻なSOSサインです。

 この記事は、かつて燃え尽きの淵に立った私自身と、私が救えなかった後輩たちへの反省を込めて、あなたの心を守るために書く処方箋の一つです。

目次

【セルフチェック】これって燃え尽き症候群かも?10の限界サイン

チェックする介護士

 バーンアウトは、ある日突然訪れるものではなく、静かに進行します。

 もし、以下のサインのうち、3つ以上が1ヶ月以上続いているなら、あなたは今、立ち止まって自分自身をケアする必要があるかもしれません。

サイン
身体的なサイン

☑︎朝、起き上がるのが地獄のように辛い
☑︎眠れない、または寝過ぎても、全く疲れが取れない
☑︎原因不明の頭痛、めまい、腹痛、動悸が続く

サイン
精神的なサイン

☑︎以前は感じていた仕事への「やりがい」や「楽しさ」を完全に失った
☑︎利用者様に対して、以前のような優しい気持ちや、共感の心が湧いてこない
☑︎些細なことでイライラし、同僚や家族、時には利用者様に対して攻撃的になってしまう

サイン
行動の変化

☑︎明らかなケアのミスや、申し送りの抜け漏れが目立つようになった
☑︎休憩室などで、同僚との会話を意図的に避けるようになった
☑︎アルコールやカフェイン、甘い物の量が増えた
☑︎仕事に行こうとするだけで、涙が出そうになる、あるいは実際に泣いてしまう

真面目で献身的な人ほど危ない!!そのメカニズム

燃え尽きた介護士

 燃え尽き症候群は、不真面目な人には起こりません。

 介護という仕事に高い理想を持ち、真面目で、献身的な人ほど、そのリスクが高まります。

何故、頑張る人ほど燃え尽きるのか

 そのメカニズムは、理想と現実のギャップにあります。

 「一人ひとりに、もっと寄り添ったケアがしたい」という高い理想。

 それに対し「人手不足で時間がない」「緊急対応に追われる」という過酷な現実。

 真面目な介護職は、このギャップを、自分自身の「時間」と「感情」と「体力」を削ることで埋めようとします。

 「私が頑張れば、なんとかなる」と、自分の心のバッテリー残量を無視して、エネルギーを放出し続けてしまうのです。

 その結果、ある日突然、バッテリーは空になり、何も感じられない、動けないという「燃え尽き」の状態に陥ります。

【予防策】仕事とプライベートに境界線を引く技術

仕事とプライベートに線を引く

 バーンアウトの最も効果的な予防策は、あなたの心のエネルギーを使い果たさないこと。

 そのために「仕事」と「プライベート」の間に、意識的な境界線を引く技術が必要です。

「感情のスイッチ」をオフにする儀式

 介護職は、利用者様の辛さや悲しみに共感する「感情労働」です。

 だからこそ、その感情を家に持ち帰らないための「儀式」が有効です。

 例えば「このロッカーに制服を脱ぎ捨てると同時に、仕事の感情もここに置いていく」と心の中で宣言する。

 あるいは、帰りの車で好きな音楽を大音量でかけ、意識を強制的に切り替える。

 そんな小さな儀式が、あなたの心を「オフ」にしてくれます。

「できない自分」を許す勇気

 あなたは、スーパーマンではありません。

 限られた時間の中で、全ての利用者様を100%満足させることは不可能です。

 自分が提供できなかったケアにではなく、自分が提供できたケアに目を向けること。

 「今日は、Aさんの話を5分間、真剣に聴くことが出来た」これで、100点満点です。

 介護の仕事は、完璧を目指すのではなく、最善を尽くす仕事なのです。

介護と無関係な「自分の居場所」を持つ

 あなたの価値は、介護職としての価値だけではありません。

 介護とは全く関係のない、趣味のサークル、友人との時間、あるいは一人で没頭できる何かを持つこと。

 それが「仕事がうまくいかなくても、私にはここがある」という、あなたの心を支える、もう一つの大切な「居場所」になります。

燃え尽きてしまった時の休み方と回復へのステップ

休む介護士

 もし、あなたがセルフチェックで「もう燃え尽きてしまっている」と感じたなら、ここからは予防策ではなく「治療」のステップです。

ステップ①:「休む」という、最も積極的な決断

 燃え尽きた状態の心は、例えるなら「重度の火傷」を負った状態です。

 火傷をしているのに、さらに火に近づき続ける人はいません。

 あなたの在すべき最も重要な仕事は「休む」ことです。

 有給休暇の取得、あるいは診断書をもらっての「休職」は、逃げでも負けでもありません。

 あなたの人生を守るための、最も勇気ある、積極的な決断です。

ステップ②:専門家(心療内科)をためらわずに受診する

 バーンアウトは、うつ病などの精神疾患と密接に関連しています。

 心のエネルギーが枯渇した状態を、気力だけで回復させるのは非常に困難です。

 「眠れない」「食欲がない」「何をしても楽しくない」という状態が続くなら、ためらわずに心療内科やメンタルクリニックの「専門家」を頼ってください。

あなたの優しさが報われる「環境」を選ぶ権利

優しさに溢れる介護士

 回復のステップを踏む中で、冷静に考えてみてください。

 あなたが燃え尽きたのは、本当にあなたのせいだけでしょうか。

あなたを燃え尽きさせた「環境」を見直す

 個人の努力を嘲笑うかのような、慢性的な人手不足。

 職員のメンタルヘルスを一切顧みない経営方針。

 職員同士が助け合えない、ギスギスした人間関係。

 そんな「燃え尽きさせる環境」に、あなたが回復した後に戻っていけば、また同じことの繰り返しです。

 あなたのその優しさ、真面目さ、献身性は、本来正当に評価され、守られるべきものです。

 もし、今の職場がそうでないのなら、あなたは、あなた自身を守るために「環境を変える」権利があります。

 介護専門の転職エージェントに相談することは、今すぐ転職するだけではありません。

 彼らは、介護業界のプロとして「職員の定着率が高く、メンタルヘルスケアに力を入れている優良な職場」の情報を数多く持っています。

 「今の自分の状況を、客観的にどう思うか」と、第三者のプロに相談してみる。

 それだけでも、あなたの視野は大きく開けます。

まとめ:あなたは、燃え尽きるために介護職になったのではない

暖かい気持ちに溢れる介護士

 あなたが介護職を選んだのは、きっと、誰かの役に立ちたい、笑顔をさせたいという、温かい気持ちがあったからのはずです。

 その尊い気持ちを、あなた自身を燃え尽きさせる燃料にしてはいけません。

 介護は、人を照らす仕事です。

 しかし、蝋燭が自らを燃やして周りを照らすように、自分を犠牲にする必要はないのです。

 あなた自身が、光り輝き続ける太陽でなければなりません。

 どうか、自分自身を大切に、その優しさを、何よりもまず、あなた自身に向けてあげてください。

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