移乗介助が上手くできないあなたへ|介護課長が教える腰を痛めないコツと注意点

腰が痛い介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「腰が砕けそう…」

 「利用者さんを持ち上げるのが、正直怖い…」

 「何度やっても、スムーズにできない…」

 移乗介助は、介護の仕事の中でも、特に身体的な負担が大きく、多くの新人が最初に壁にぶつかる技術です。

 最初に断言します。

 上手な移乗介助は、腕力や体力、そしてセンスで決まるものでは決してありません。

 正しい「知識」と「準備」そしてほんの少しの「コツ」を知るだけで、驚くほど楽に、そして安全に行えるようになります。

 この記事では、あなたの移乗介助への苦手意識を、自信へと変えるための具体的な方法を、私の経験から徹底解説します。

目次

力任せはNG!!ボディメカニクスを再確認しよう

ムキムキの介護士

 移乗介助の全ての土台となるのが、ボディメカニクスです。

 腕力だけで「よっこいしょ」と持ち上げるのは、あなたと利用者様の双方にとって最も危険で、最も非効率な方法です。

 ボディメカニクスとは、力学の原理を応用し、最小限の力で、自分と相手の身体に負担をかけずに介助を行うための技術です。

 基本は、両足を広げて身体を安定させ、膝を曲げて重心を低くし、相手の身体に自分の身体を近づけること。

 この基本姿勢を意識するだけで、腰への負担は劇的に軽減されます。

 より詳しくは、以前に解説したこちらの記事『介護技術「ボディメカニクス」の基本』で8つの原則を必ず修復しておいてください。

【準備が8割】移乗前に確認すべき3つのこと

車椅子前に屈む介護士

 上手な移乗介助は、介助を始める前の「準備」で、その成否の8割が決まると言っても過言ではありません。

①環境の準備:動線と高さを整える

 まず、利用者様を安全に、そしてスムーズに移動させるための環境を整えます。

 最低限、以下の3点は必ず確認してください。

  • 車椅子の位置:ベッドに対して、角度をつけすぎず、近すぎない30〜45度の位置に置きます。
  • フットレストとブレーキ:車椅子のフットレストを上げ、ブレーキが確実にかかっているかを、手で車椅子を揺すって確認します。
  • ベッドの高さ:ベッドの高さを、車椅子の座面より少し高い位置に調整します。これにより、重力も利用して、スムーズに移乗できます。

②利用者様の準備:足の位置と姿勢

 次に、利用者様の準備です。

 ベッドに浅く座っている状態では、力が入りません。

 一度、奥に引き、深く安定した姿勢で座り直していただきましょう。

 そして、両足の裏が、しっかりと床に着いているかを確認します。

③自分の準備:心と身体の準備

 最後に、あなた自身の準備です。

 ここから行う一連の動きを頭の中でシミュレーションし、自分の足場が滑らないか、周りに障害物はないかを確認します。

 心の準備と、物理的な準備。

 この両方が、焦りのない、安全な介助に繋がります。

【動画解説の補足】足の位置・重心移動・声かけのタイミング

立ち上がりを促す介護士

 最近は動画で移乗介助を学ぶこともできますが、映像だけでは伝わりにくい、プロが意識している細やかなコツがあります。

あなたの「足の位置」は、利用者様の脱出路を塞いでいないか

 介助の際、自分の足で利用者様の両膝を挟むように固定することがあります。

 この時、ガチガチに固定しすぎると、利用者様は足元が不安になり、かえって身体に力が入ってしまいます。

 あなたの足は、あくまで利用者様の膝が折れてしまうのを防ぐ「壁」であり、動きを導く「ガイド」です。

 少し遊びを持たせることを意識してください。

「持ち上げる」のではなく「重心を移す」感覚

 移乗介助は、垂直に「持ち上げる」運動ではありません。

 ベッドから車椅子へ、お互いの重心を滑らかに「移す」水平の運動です。

 相手の身体を自分に引き寄せ、一体化し、社交ダンスのパートナーをリードするように、ゆっくりと体重を移動させる。

 この感覚を掴むことが、力に頼らない介助への最大のコツです。

魔法の声かけ「お辞儀をしましょう」

 「立ちますよ、いち、にの、さん‼︎」という声かけは、一見親切ですが、利用者様にとってはタイミングが合わせにくいものです。

 それよりも「まず、足元を見ましょうか」「次にお辞儀をしますよ」「私のお腹を見てください」というように、一つの具体的な動作ごとに声かけをすることで、利用者様は次に行うことを予測でき、安心して力を合わせることができます。

利用者様の「残存能力」を最大限に引き出す関わり方

自信を持ったおばあちゃん

 移乗介助は、私たちが100%の力で行うものではありません。

 利用者様が持つ残存能力(まだ残っている力)を、いかに引き出すかが専門職としての腕の見せ所です。

 「ベッドの柵につかまれますか?」「足でぐっと床を踏ん張ってみましょうか」と声をかけ、自身でできることは、できる限り本人様に行っていただく。

 それは、単に私たちの負担を減らすためではありません。

 利用者様自身の「まだできる」という自信と、生活への意欲を守るための、重要な「自立支援」なのです。

あなたの移乗介助を劇的に楽にする便利グッズ

コルセット着用する介護士

 技術を磨くと同時に、便利な福祉用具を積極的に活用することも、プロの介護職として非常に重要です。

摩擦を減らす魔法の布「スライディングボード/シート」

 特に全介助に近い方や、体格の大きい方の移乗では、福祉用具を積極的に活用すべきです。

 私が現場で最も感動したのが『スライディングボード』です。

 利用者様のお尻の下にこの滑りやすい板を敷き込み、ボードの上を滑らせるように移動させることで「持ち上げる」という動作がほぼ不要になります。

あなたの腰と足を守るアイテム

 そして、自分自身の身体を守るための投資も忘れてはいけません。

 滑りにくく、衝撃を吸収する専門職向けのシューズや、腰に不安があるなら腰部保護ベルトは、あなたの介護キャリアを長く続けるための必須アイテムです。

 また、技術を基礎から学び直したい方には、図解が豊富な『根拠からわかる介護技術』のような書籍も強くおすすめします。

安全な移乗介助は「働く環境」で決まる

パソコンで探す介護士

 最後に、介護課長として最も伝えいたいこと。

 それは、安全な移乗介助は、個人の技術だけで成り立つものではない、ということです。

 十分な人員配置、福祉用具の積極的な導入、そして何より、職員への安全教育を徹底する文化。

 そうした「働く環境」こそが、あなたの腰痛と利用者様の安全を守ります。

 もし、あなたが今の職場で「一人での無理な移乗」を強いられたり、技術を学ぶ機会がなかったりするならば、それは非常に危険なサインです。

 あなたの身体を壊す前に、職員の安全を第一に考える優良な施設へ転職することを真剣に検討してください。

 介護専門の転職エージェントに相談すれば、そうした「ホワイトな職場」の内部情報を得ることができます。

まとめ:上手な移乗介助は、知識と準備、そして思いやり

ウキウキの介護士

 上手な移乗介助は、特別な才能ではありません。

 ボディメカニクスという「知識」に基づき、万全の「準備」を行い、利用者様の力を引き出そうとする「思いやり」を持って臨む。

 この3つが揃った時、あなたの移乗介助は、力任せの作業から、安全で快適なプロの技術へと変わるはずです。

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