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「申し送りの時間が怖い…」
「話がまとまらず、先輩に『で、結論は?』と遮られてしまう…」
「何をどこまで伝えればいいのか、いつも迷ってしまう」
介護職にとって、日々の申し送りは避けて通れない重要な業務ですが、苦手意識を持っている方は本当に多いものです。
介護課長として、毎日の申し送りでチームの状態を把握し、数多くのスタッフを指導してきた私が断言します。
上手な申し送りは、才能ではありません。
いくつかのポイントを意識するだけで、誰でも劇的に改善できる「技術」なのです。
この記事では、あなたの申し送りを「分かりにくい」から「分かりやすい」へと変える、3つの具体的なポイントを例文付きで徹底解説します。
あなたは大丈夫?ダメな申し送りの3つの特徴

ポイントを解説する前に、まずは「ダメな申し送り」とは何かを共有しましょう。
もし一つでも当てはまっていたら、この記事がきっとあなたの役に立つはずです。
特徴①:話が長いだけで、要点が分からない
勤務中の出来事を、時系列でダラダラと話してしまうパターンです。
聞いている側は、何が重要な情報なのか分からず、集中力が途切れてしまいます。
一生懸命伝えようとしている想いは分かりますが、これではチームに必要な情報が届きません。
特徴②:「〜と思う」ばかりで、事実と解釈が混在している
「Aさん、昨日より少し元気がないように思いました」といった、主観的な感想や解釈ばかりを話してしまうのも、良くない申し送りです。
あなたの「気づき」は大切ですが、その根拠となる客観的な事実がなければ、他のスタッフは適切な判断ができません。
特徴③:伝えるべき「変化」が抜け落ちている
記録をただ読み上げるだけで、昨日と変わらない情報を繰り返してしまう。これも問題です。
申し送りの時間は限られています。聞くべきは「昨日と比べて、何がどう変化したのか」という差分情報です。
変わりないことの報告に時間を使うのは避けましょう。
ポイント①:伝えるべきは「変化」と「注意点」だけ

上手な申し送りの第一歩は、情報を「捨てる」勇気を持つことです。
勤務中に起きた全ての出来事を話す必要はありません。
次のシフトのスタッフが知るべき、最も重要な情報に絞り込みましょう。
具体的には「普段と比べて変化があったこと」そして「次の勤務帯で特に注意してみてほしいこと」の2点です。
例えば、いつもは完食する方は食事量が半分だった、普段よりトイレの回数が多かった、ご家族様からいつもと違う内容の電話があった、など。
この「変化と注意点」というフィルターを通して情報を整理するだけで、申し送りは驚くほど簡潔になります。
ポイント②:「結論ファースト」で、相手の頭を整理する

伝えるべき情報を絞り込んだら、次は「伝える順番」を工夫します。
最も効果的なのが、「結論から話す」ことです。
私が推奨する「結論⇨経過⇨注意点」の構成
私が新人指導で必ず教えていたのが、このシンプルな構成です。
Step 1:結論 (Point) – まずは「一番大事なこと」から
- 何をするか?
- 報告の中で最も重要な「結論」や「事実」を一言で伝えます。
- 何故効果的?
- 聞き手は瞬時に「何の話か」を理解し、その後の詳細を聞く心構えができます。
例:「A様に38.5℃の発熱がありました」
Step 2:経過 (Process) – 「なぜそうなったか」を簡潔に
- 何をするか?
- 結論に至った「経緯」や「行った対応」を、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して具体的に説明します。
- 何故効果的?
- 客観的な事実が整理され、状況の全体像を正確に共有できます。
例:「21時に訪室した際に発熱を認め、看護師に報告。指示に基づきクーリングを実施し、24時には37.5℃まで解熱しています」
Step 3:注意点・計画 (Plan) – 「これからどうすべきか」を示す
- 何をするか?
- 現状を踏まえ、今後必要になる「対策」や「注意してほしいこと」を伝えます。
- 何故効果的?
- 次にとるべきアクションが明確になり、チームで一貫した対応ができるようになります。
例:「現在は落ち着いていますが、再発熱の可能性もあるため、水分補給とバイタルチェックの頻度を上げてください」
この構成のメリット
- 聞き手の負担が少ない:話のゴールが最初から分かっているので、安心して聞ける。
- 情報が正確に伝わる:時系列や論点が整理されており、誤解が生じにくい。
- 時間がなくても要点が伝わる:最初の「結論」だけでも報告として成立する。
この順番で話すだけで、聞き手はストレスなく、正確に情報を理解できます。
ポイント③:申し送りの質は「準備」で決まる

上手な申し送りは、その場で生まれるものではありません。
勤務中の情報収集と整理、つまり「準備」が9割です。
私が常にスタッフに指導していたのは、勤務中に小さな変化があれば、その場でポケットサイズのメモ帳にキーワードだけでも書き留めておくことです。
記録に頼ると、重要な情報が抜け落ちたり、曖昧になったりします。
また、情報を構造的に伝える訓練として、ベストセラーである『1分で話せ』のようなビジネス書を読むことも、驚くほど効果があります。
介護の知識だけでなく「伝える技術」を学ぶことで、あなたのプロとしての評価は格段に上がります。
【シーン別】夜勤⇨日勤への申し送り例文

それでは、これらのポイントを踏まえた具体的な申し送りの例文を見ていきましょう。
例文1:発熱があった利用者様の申し送り
「結論⇨経過⇨注意点」で整理した例
- 【結論】
- 昨夜38.5℃の発熱がありましたが、現在は解熱傾向にあり安定しています。
- 【経過】
- 発生時間: 昨夜21時
- 対応: 看護師へ報告後、指示に基づきクーリングを実施しました。
- 体温の推移: 24時に37.5℃ → 朝6時には37.1℃に解熱。
- 本人様の様子: 意識はクリアですが、「少しだるい」との訴えがあります。
- 【今後の対応・お願い】
- 再発熱の可能性があるため、経過観察をお願いします。
- 【具体的な依頼事項】
- 日中のこまめな水分補給
- 午前・午後のバイタルチェック
文章に直した例
「お疲れ様です。申し送りをします。A様についてです。
まず結論からお伝えすると、昨夜38.5℃の発熱がありましたが、現在は解熱傾向にあり安定しています。
経過ですが、昨夜21時に発熱を確認しすぐに看護師へ報告しました。指示の元クーリングを行った結果、24時には37.5℃、今朝6時の時点では37.1℃まで解熱しています。本人様は『少しだるい』と話されていますが、意識はクリアです。
今後の対応として、再発熱の可能性も考えられますので、日中はこまめな水分補給と、午前・午後のバイタルチェックをお願いします。」
例文2:特に変化がなかった全体の申し送り
「結論⇨経過⇨注意点」で整理した例
- 【結論】
- 夜勤帯、ユニット全体で特に大きな変化はありませんでした。
- 【特記事項】
- A様:
- 昨日からの発熱はおさまり、37℃台前半で安定しています。
- B様:
- 深夜2時頃に一時的に不穏な様子が見られました。
- 10分ほどお話を伺ったところ、落ち着かれて入眠されました。
- その他の方々:
- 皆様、夜間は穏やかにお過ごしでした。
- A様:
- 【連絡事項】
- 詳細は各自、記録をご確認ください。
文章に直した例
「お疲れ様です。夜勤帯の申し送りをします。
まず、ユニット全体として特に大きな変化はありませんでした。
個別の報告ですが、昨日発熱があったAさんは37℃台前半で安定しています。Bさんについては、深夜2時頃に一時的に不穏な様子が見られましたが、10分ほどお話を伺ったところ落ち着かれて、その後は朝まで入眠されていました。その他の皆様も、夜間は穏やかにお過ごしでした。
詳細は各自、記録をご確認ください。以上です。」
例文3:転倒があった利用者様の申し送り
「結論⇨経過⇨注意点」で整理した例
- 【結論】
- F様が深夜1時頃にベッドから転落しましたが、幸い大きな怪我はありませんでした。
- 【経過】
- 発見状況: 物音で訪室した際、ベッド横に座り込んでいる所を発見しました。本人様曰く「トイレに行こうとした」とのことです。
- 対応: 看護師と共に全身状態を確認後、ベッドへ移乗しました。
- バイタル・外傷: バイタルは安定。右肘に擦り傷と軽い発赤があり、冷却湿布で対応済みです。他に痛み等の訴えはありません。
- 【今後の対応・お願い】
- 念のため、日中も痛みや歩行状態に変化がないか注意深く観察をお願いします。
- 転落原因の再評価のため、日中の活動量や排泄パターンの確認をお願いします。
- センサーマットの設置を検討するため、リーダーへ報告済みです。
文章に直した例
「お疲れ様です。申し送りをします。F様についてです。
結論から申し上げますと、深夜1時頃にベッドからの転落がありましたが、幸い大きな怪我はありませんでした。
物音で訪室した際に、ベッドの横に座り込んでいるF様を発見しました。本人様から『トイレに行こうとした』とのお話がありました。すぐに看護師と協力して全身状態を確認し、ベッドへ移乗しています。バイタルは安定しており、右肘に擦り傷と軽い発赤があったため冷却湿布で対応しました。本人様から他に痛みの訴えはありません。
今後の対応ですが、念のため日中も痛みや歩行状態に変化がないか注意深く観察してください。また、転落原因を再評価するため、日中の活動量や排泄パターンについても確認をお願いします。なお、センサーマット設置の検討をリーダーへ報告済みです。」
例文4:食事量が低下している利用者様の申し送り
「結論⇨経過⇨注意点」で整理した例
- 【結論】
- G様の食事量低下が続いており、夜間帯も水分摂取が進みませんでした。
- 【経過】
- 食事状況: 夕食を2割ほど残されました。
- 水分摂取: 夜間、お茶にほとんど口をつけられていません。就寝前にゼリー飲料を勧めましたが、拒否がありました。
- 本人様の様子: 「食欲がない」と話され、活気も普段より乏しい印象です。バイタルサインに著変はありません。
- 【今後の対応・お願い】
- 脱水のリスクがあるため、日中の水分摂取を特に意識して促してください。
- 【具体的な依頼事項】
- 本人様が好きな飲み物(リンゴジュースなど)で摂取を促す。
- 食事形態が合っているか、日中の様子と合わせて再評価をお願いします。
文章に直した例
「お疲れ様です。申し送りをします。G様についてです。
結論として、ここ数日続いているG様の食事量低下ですが、夜間帯も水分摂取が進まない状況でした。
経過ですが、昨日の夕食を2割ほど残され、夜間もお茶にほとんど口をつけていただけませんでした。就寝前にゼリー飲料をお勧めしましたが、これも拒否されています。ご本人からは『食欲がない』とのお話があり、普段より活気も乏しい印象ですが、バイタルサインに大きな変化はありません。
今後の対応として、脱水のリスクが懸念されますので、日中は特に意識して水分摂取を促して頂きたく思います。ご本人が好きなリンゴジュースなどで試してみて頂けると助かります。また、食事形態の見直しの必要性について、日中の様子と合わせてご検討をお願いします。」
例文5:利用者間のトラブルに関する申し送り
「結論⇨経過⇨注意点」で整理した例
- 【結論】
- 夕食後、食堂にてH様とI様の間で口論がありましたが、職員介入により現在は双方落ち着かれています。
- 【経過】
- 原因: テレビのチャンネル争いがきっかけでした。
- 状況: お互いに声を荒らげる場面が見られました。
- 対応: 職員が間に入り、それぞれ別々の場所でお話を伺いました。
- 結果: 興奮は収まり、その後は接触なく、それぞれの居室で過ごされました。
- 【今後の対応・お願い】
- 日中も両者の関係性に注意を払ってください。
- お二人が同じ空間にいる際は、席を離すなどの配慮をお願いします。
- 再発防止のため、食堂での過ごし方について日中のリーダーを中心に検討をお願いします。
文章に直した例
「お疲れ様です。申し送りをします。
結論から申しますと、夕食後に食堂でH様とI様の間で口論がありましたが、職員が介入し、現在は双方とも落ち着かれています。
原因はテレビのチャンネル争いでした。お互いに声を荒らげる場面がありましたので、私達が間に入り、それぞれ別々の場所でお話を伺いました。結果として興奮は収まり、その後はお二人とも接触なく、ご自身の居室で過ごされています。
今後の対応ですが、日中も両者の関係性には注意を払って頂きたく思います。お二人が食堂など同じ空間にいらっしゃる際は、席を離すなどのご配慮をお願いします。再発防止のため、食堂での過ごし方のルールについて、日中のリーダーを中心に検討頂ければと思います。」
「申し送りが上手い人」は、どの職場でも評価される

申し送りの上手さは、あなたの観察力、分析力、そしてチームへの配慮を雄弁に物語る、重要なプロフェッショナルスキルです。
このスキルは、転職市場においても、あなたの市場価値を大きく高めます。
もし、今の職場が個人の感覚的な申し送りを許容し、チームとしての情報共有を軽視している文化なら、あなたの成長はそこで止まってしまいます。
あなたのその「伝える力」を正しく評価し、チーム全体のレベルアップに繋げてくれる職場は必ずあります。
キャリアアップを考えるなら、一度介護専門の転職エージェントに相談し、質の高いコミュニケーションを実践している優良な施設について話を聞いてみることをおすすめします。
まとめ:申し送りは、チームケアの要であり、あなたの評価を上げるチャンス

申し送りは、単なる業務報告ではありません。
それは、24時間続くケアの質を担保する「チームケアの要」であり、あなたの専門瀬雨を示す絶好の「プレゼンテーションの場」です。
明日からの勤務で、是非今回紹介した3つのポイントを一つでも意識してみてください。
あなたの申し送りが「分かりやすい」と仲間から信頼されるようになれば、仕事はもっと楽しく、そしてスムーズになるはずです。

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