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「利用者様と、うまく話せない…」
「良かれと思って言った一言が、相手を怒らせてしまった…」
「認知症の方との対話に、どうしようもなく行き詰まってしまう…」
介護職として働く中で、コミュニケーションの難しさに直面し、悩んでいる方は決して少なくありません。
何百人もの利用者様と向き合い、多くの後輩を指導してきた私が断言します。
介護におけるコミュニケーションは、単なる「おしゃべり」ではなく、信頼関係を築き、ケアの質を左右する、重要な「専門技術」です。
この記事では、私が一番大切にしているコミュニケーションの大原則から、明日からすぐに現場で使える具体的なテクニックまで、私の経験の全てを注ぎ込んでお伝えします。
大前提:「傾聴」こそがコミュニケーションの9割

数あるテクニックを学ぶ前に、まず心に刻んでほしいのが、コミュニケーションの成否は「傾聴」で9割決まる、ということです。
私たちがすべきことは、巧みに話すことではありません。
相手が安心して話せる環境を作り、その言葉の奥にある想いを、真摯に聴くことです。
「聞く」と「聴く」の決定的な違い
私たちは普段、何気なく話を「聞いて」います。
しかし、介護で求められるのは、心を寄せて「聴く」という姿勢です。
耳偏に「十四の心」と書くこの漢字(聴)のように、相手の目や表情、声のトーン、仕草など、言葉以外の情報にも心を配り、全身で相手を理解しようと努める。
それが「傾聴」の第一歩です。
沈黙を恐れない勇気
会話が途切れると、私たちはつい焦って何か言葉を探してしまいます。
しかし、利用者様の中には、自分の気持ちを言葉にするのに時間がかかる方も大勢いらっしゃいます。
その「沈黙」は、相手が一生懸命に言葉を探している、大切な時間なのかもしれません。
沈黙を恐れず、急かさずに、ゆったりと待つ。
その姿勢こそが、相手に「この人なら話しても大丈夫だ」という安心感を与えるのです。
テクニック①:言葉以上に雄弁な「非言語コミュニケーション」

人は、言葉そのものよりも、表情や態度といった「非言語コミュニケーション」から、より多くの情報を受け取ると言われています。
忙しい時ほど意識したい、3つの基本をご紹介します。
表情:穏やかな笑顔は「安心」のサイン
どんなに優しい言葉をかけても、マスクの下の表情が強張っていては、相手に不快を与えてしまいます。
特に、認知症の方は言葉の理解が難しくなる分、相手の表情から感情を読み取る能力に長けていると言われています。
口角を少し上げるだけでも構いません。
穏やかな笑顔は「私はあなたの敵ではありません」という、何よりのメッセージになります。
相槌・うなずき:「あなたの話を受け止めています」という証
相手の話に「はい」「ええ」と相槌を打ったり、こくりとうなずいたりする。たったこれだけのことで「私はあなたの話を、きちんと受け止めていますよ」という承認のサインを送ることができます。
単調にならないよう、「そうだったんですね」「なるほど」とバリエーションを持たせると、より会話が弾むでしょう。
視線:相手の目線まで下がることの重要性
車椅子に座っている方や、ベッドに臥床されている方と話す時、立ったまま見下ろす形で話していませんか?
相手と同じ目線の高さまで、そっと腰を落とす。
この身体的なアプローチが、心理的な壁を取り払い、対等な関係性を築く上で非常に重要になります。
テクニック②:肯定的な言葉選びと「I(アイ)メッセージ」

介助を行う上で、どうしても相手の言葉を制止したり、何かを促したりする場面は避けられません。
そんな時、少し言葉選びを工夫するだけで、相手との関係は劇的に改善します。
否定しない、命令しない「クッション言葉」の活用
「立ち上がったらダメですよ」という否定や命令の言葉は、相手の自尊心を傷つけ、反発を招きがちです。
そんな時は「危ないから、少し座ってお話ししませんか?」のように、理由と代替案をセットで提案する「クッション言葉」を使いましょう。
「〜しないでください」を「〜していただけると助かります」に変えるだけで、言葉の印象は驚くほど柔らかくなります。
主語を「あなた」から「私」に変える魔法
相手に行動を促す際「(あなたは)お薬を飲んでください」と言うと、それは「指示・命令」になります。
これを「(私は)○○さんがお薬を飲んでくださると、安心します」のように、主語を「私」に変えて伝えるのが「I(アイ)メッセージ」です。
自分お気持ちを伝えることで、相手に選択の余地が生まれ、自主的な行動を促しやすくなります。
【認知症の方へ】世界を共有するためのコミュニケーション術

認知症の方とのコミュニケーションは、一筋縄ではいかないことも多いでしょう。
「認知症実践者リーダー」でもある私が最も大切にしているのは、私たちの「正しさ」を押し付けない、ということです。
相手の「現実」を否定しない
例え、それが外事実と異なることで合っても、本人様が「見えている」「感じている」世界は、その方にとっての真実です。
「そんな人はいませんよ」と真正面から否定するのではなく「そうなんですね、どんな方ですか?」とまずは相手の世界に興味を示し、共有しようと試みることが、信頼関係への第一歩となります。
言葉の裏にある「感情」に寄り添う
言葉が支離滅裂に聞こえても、その裏には必ず「不安」「悲しい」「嬉しい」といった感情が隠されています。
私たちは、言葉そのものではなく、そのお香にある感情に寄り添うべきです。
「家に帰りたい」と言う言葉の裏にある「寂しさ」や「不安」に共感し「寂しい気持ちなんですね」と受け止める。
その関わりが、本人様の心を穏やかにします。
コミュニケーション尿力をさらに深めるための読書案内

これらのテクニックは、意識するだけでも変わりますが、理論を学ぶことでさらに深く実践できるようになります。
私が新人時代から介護課長になるまで、何度も読み返した本を厳選して紹介します。
認知症ケアを深く学ぶなら、その世界的スタンダードである『パーソン・センタード・ケア』の考え方は、あなたのケアの根幹を成すものとなるでしょう。
また、より実践的な言葉選びの技術を磨くなら、ベストセラーである『伝え方が9割』が、明日からのコミュニケーションを変えるヒントをくれます。
まとめ:コミュニケーションは、介護職にとっての最強の「専門技術」である

介護におけるコミュニケーションは、持って生まれた才能やセンスではありません。
正しい知識を学び、日々意識して実践することで、誰でも必ず上達させることができる、後天的な「専門技術」です。
この技術を磨くことこそが、ケアの質を高め、利用者様の笑顔を増やし、そして何より、あなた自身の仕事のやりがいを深めてくれるはずです。
最後に、質の高いコミュニケーションは、スタッフ同士の良好な関係性があってこそ、より実践しやすくなります。
もし、今の職場がスタッフ間の対話を軽視していたり、利用者様への言葉遣いが乱暴だったりする環境ならば、あなたが本来の力を発揮するのは難しいかもしれません。
あなたのその優しいコミュニケーションスキルを正しく評価し、育ててくれる職場は必ずあります。
キャリアに悩んだ時は、専門の転職エージェントに相談してみるのも一つの選択肢です。
この記事が、あなたのコミュニケーションへの自信につながり、日々のケアをより豊かなものにする一助となれば幸いです。

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