【事例で学ぶ】レビー小体型認知症の特徴とケアのポイント|介護課長が教える「幻視」対応の極意

幻覚を見てびっくりする介護士

 ※この記事にはプロモーションが含まれます。

 「部屋の隅に、知らない子どもが立っているの」

 「布団の上に虫がいっぱいいて気持ち悪い!!」

 利用者様から突然そんなことを言われ、何もいない空間を指さされたら…

 ゾッとする気持ちも分かりますが、それは単なる妄想ではなく「レビー小体型認知症」特有の症状かもしれません。

 実は、日本人の認知症の約2割を占めると言われるこの病気。

 アルツハイマー型と同じ対応をしていると、利用者様を逆に混乱させてしまうことがあります。

 この記事では、現場で遭遇しやすい事例を交えながら、レビー小体型認知症の3大特徴と、プロとして実践すべきケアのポイントを解説します。

💡pick up

目次

レビー小体型認知症の3大症状:ここを押さえれば怖くない

幻覚の動物を可愛がる利用者

 この病気には、他の認知症とは際立って異なる3つの特徴があります。

 これらを理解することがケアの第一歩です。

①具体的でリアルな「幻視(げんし)」

 「誰かが盗みに来た(物盗られ妄想)」といったアルツハイマー型の妄想とは異なり「そこにないものが、ありありと見える」のが特徴です。

 「子ども」「虫」「小動物」などが鮮明に見えるため、本人様の恐怖心は相当なものです。

②ジェットコースターのような「認知機能の変動」

 「昨日はしっかりとお話しできたのに、今日は一日中ボーッとしていて会話が成立しない」

 このように、日によって、あるいは1日の中で、頭の働きがシャキッとしている時とそうでない時の差が激しのが特徴です。

 これを「日内変動」「日差変動」と呼びます。

③転倒リスクを高める「パーキンソン症状」

 手が震える、動作が遅くなる、筋肉が強張る、小刻みに歩くといった、パーキンソン病に似た症状が現れます。

 身体のバランスが取りにくくなるため、転倒リスクが非常に高く、見守りや歩行介助には細心の注意が必要です。

リアルな「幻視」への対応法:否定せず、安心感を与える

幻覚の蛇を追い払う介護士

 「虫がいる!!」と言われた時「そんなものいませんよ!!」と否定していませんか?

 それは逆効果です。

「見えている事実」を受容する

 私たちには見えなくても、本人様には本当に見えています。

 頭ごなしに否定されると、本人様は「嘘つき扱いされた」と傷つき、孤立感を深めます。

 まずは「私には見えませんが、〇〇さんには見えているんですね。怖いですよね」と、見えている事実と感情を受け止める(受容・共感)ことが大切です。

「追い払う演技」も有効なテクニック

 その上で「じゃあ、私が追い払いますね」といって、箒で掃くフリをしたり「あっちに行け!!」と手で追い払う動作をしたりするのも、ベテランの技です。

 「頼りになる職員さんが追い払ってくれた」という安心感が、幻視による恐怖を和らげます。

環境調整で幻視を減らす

 薄暗い場所や、複雑な模様のカーテンなどが、壁のシミやシーツのシワを「虫」や「人」に見誤らせる原因(パレイドリア)になります。

  • 部屋の照明を明るくする。
  • 直接的な照明よりも間接照明を活用し、影を作らないようにする。
  • 目に入りやすい場所に、複雑な柄の物を置かない。これらのような環境調整も、プロの仕事です。

薬に過敏なため、薬剤調整には細心の注意が必要

薬を見つめる介護士

 レビー小体型の方は、薬(特に抗精神病薬)に対して非常にデリケートです。

「薬剤過敏症」を知っておく

 一般的な認知症の方には問題ない量の薬でも、レビー小体型の方には効きすぎてしまい、急激に意識が朦朧としたり、歩けなくなったりする副作用が出やすい傾向があります。

 「薬が変わってから急に元気がなくなった」「ふらつきが強くなった」といった変化に一番早く気づけるのは、私たち介護職です。

 異変を感じたら、すぐに看護師や医師に報告しましょう。

専門知識を深めるための一冊

 この病気は医学的な理解がケアの質に直結します。

 より深く学びたい方には、レビー小体型認知症研究の第一人者である小阪先生の著書、家族・介護職向けの解説書『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』などが非常に参考になります。

 正しい知識は、あなたの迷いを消してくれます。

日によって状態が大きく変わることをチームで共有する重要性

チームで情報を共有する介護士

 「昨日は自分でトイレに行けたのに、今日は行けないなんて、甘えているだけでは?」

 新人職員が陥りがちな誤解です。

「できない日」があることをチームで認める

 前述の通り、認知機能や身体機能の変動が激しいのがこの病気です。

 「昨日はできた」は基準になりません。

 「今日は調子が悪い日なんだな」と割り切り、その日の状態に合わせてケアレベルを柔軟に変えることが必要です。

記録と申し送りが鍵

 「午前中は覚醒良好だったが、14時頃から傾眠傾向」「夕方に幻視あり」など、いつ、どんな変化があったかを細かく記録し、チーム全体で共有しましょう。

 「この方は夕方に調子を崩しやすい」というパターンが見えれば、チーム全体で先回りの対応ができるようになります。

まとめ:その「見えないもの」に寄り添う優しさを

利用者に寄り添う介護士

 レビー小体型認知症のケアは、確かに難しい側面があります。

 しかし「幻視」や「変動」という病気の特性を理解し、本人様が見ている世界に寄り添うことができれば、恐怖を安心に変えることができます。

 「あなたのおかげで怖くなくなったよ」

 そう言っていただける信頼関係を築くために、是非今日から実践してみてください。

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